厚生労働省のがん診療提供体制のあり方に関する検討会(座長=北島政樹・国際医療福祉大学長)は14日に初会合を開き、がん診療連携拠点病院(拠点病院)の指定要件の見直し作業に着手した。当面、地域のがん診療提供体制の現状を踏まえ、現行の整備指針にある、都道府県拠点病院がない二次医療圏に、原則として1つの施設を指定するという要件が適当かどうかを検証し、来年3月末までに方向性を示す。ほかの要件の見直しも、段階的に始め、2014年度からの新規の拠点病院指定に関する作業が本格化する来年秋には、新たな指定要件をまとめたい考えだ。
全国どこでも質の高い医療を受けることができるよう整備が進められた拠点病院には、12年4月1日現在397施設が指定されている。01年の整備指針以来、「二次医療圏に1つ」を目安に指定してきたが、近年は拠点病院のない医療圏の数が減らずに推移し、いわゆる「空白の医療圏」が生じていると問題視されていた。また、都道府県が独自に拠点病院に準ずる施設を指定していることで、患者が混乱していると懸念する声も挙がっている。
独自に「準」拠点病院を指定している都道府県は36あり、国が指定する拠点病院の要件と同じ都道府県は4分の1にとどまる、ダブルスタンダードの状況になっている。12年4月現在で、「準」拠点病院に指定されている施設は272に達している。都道府県の「準」拠点病院の要件では、国が定めている放射線治療に関する要件や、年間入院患者数1200人以上という基準を緩和しているケースが目立つという。
委員から、「国の拠点病院がない『空白の医療圏』に、都道府県が独自に指定する『準』拠点病院があるならば、理解はできる」との意見が出たが、「空白の医療圏」と「準」拠点病院の地理的分布が明確でないため、事務局が持ち帰り、次回以降の会合に参考資料として提出できるかどうか検討することになった。
「二次医療圏に1つ」という要件については、社会の高齢化に伴う人口の変動や、患者が他県の拠点病院で診断を受けることを考慮していないなどとして、見直す方向でほぼ一致した。堀田知光委員(国立がん研究センター理事長)は、「二次医療圏そのものが、人口200万や300万だったり、10万程度のところもあり、格差がある。そろそろ二次医療圏にこだわるのをやめたほうがいい」と指摘した。
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