気温や降水量などの気象データをコンピューターに入力すれば、イネの葉で機能する約1万7200個の遺伝子の働き具合を推定できるシステムを世界で初めて開発したと、農業生物資源研究所(茨城県つくば市)が7日付の米科学誌セルに発表した。
同研究所を中心とする国際チームが2004年に全遺伝情報(ゲノム)を解読した品種「日本晴」のほか、かつて盛んに栽培された「農林8号」について、08年につくば市内の水田で栽培し、葉で機能する遺伝子の働き具合を分析。このデータと気象庁が観測した気温や湿度、日照、降水量などのデータを統合した。
今後、「コシヒカリ」などの主要品種について日本各地で栽培したデータを増やしていけば、猛暑や冷夏で障害が生じた場合に影響を受けた遺伝子をリストアップし、品種改良に役立てることができる。また、特定の遺伝子の働き方を目印として、肥料や農薬をまく時期を決めることもできると期待される。
システムに入力するのは気象データのほか、田植えからの日数と分析用の葉を採取した時刻。09年にも水田で日本晴などを栽培して葉の遺伝子の働き具合を調べ、08年のデータに基づく推定値と照合し、精度高く推定できることを確認した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121207-00000011-jij-sctch