今月は児童虐待防止推進月間です。虐待の中でも、身体的な虐待に比べ、おもてに現れにくく実態が把握しにくいと指摘される育児放棄「ネグレクト」をどう防ぐかが喫緊の課題となっています。
このネグレクトを防ごうと新潟市で26日、市町村の担当者や民生委員などを対象にした研修会が
開かれました。
新潟県内でも児童相談所が把握した児童虐待の件数は年々増え続け、昨年度は1166件と初めて1000件を超えました。
その内訳は▼身体的虐待が507件▼食事を与えないなどの育児放棄をする「ネグレクト」が384件▼無視をするなどの心理的虐待が252件となっています。
なかでもネグレクトは増加傾向で、7年前の実に2倍近くに上っています。
核家族化や地域とのつながりが希薄になるなか、孤立を感じながら子育てをする母親たちが多い今、育児を放棄するネグレクトの問題はひと事ではないと感じる人は少なくありません。こうしたネグレクトを防ごうと26日、新潟市で開かれた研修会には、市町村の担当者や民生委員など、およそ200人が参加しました。
こうした研修会が開かれた背景には、ネグレクトにつながりかねない相談が相次いで寄せられていることがあるといいます。
新潟市にある子育て相談を受け付けるセンターでは、この2年間に寄せられた相談は2000件あまりにのぼっています。
その1割が、子どもへのいらだちや育児に疲れたといった悩みでした。
「泣かれると、とてもつらい。
かわいいと思えなくなる」
悩みを訴えた母親の多くは、子育てについて相談できる人が周りにおらず、孤立していたといいます。研修会では、ネグレクトを予防するために、家庭での日常生活に行政が積極的に関わっている試みが紹介されました。岡山県が3年前から保護者などに配っているチェックリストは、5年前、ネグレクトで子どもが死亡した事件をきっかけに導入しました。
子どもの気持ちが満たされるようなやりとりができているか。
病気の時に必要な治療を受けさせているか。およそ30の項目を設け、子どもとの接し方を5段階で保護者に尋ねます。
学校や保育所が母親に聞き取り
支援が必要なケースを見極めるほか、問題を抱える母親の早期発見につながっているといいます。
県児童家庭課の戸松裕課長は、
「養育放棄とか、病院に連れて行かないとか、ネグレクトは外見からはわかりづらい。地元の地域密着の民生委員や児童委員に小さな気づきを拾ってもらいたい」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/niigata/lnews/1033018121.html?t=1353942082248