若@博士課程中退者です。
研究者をめざして、この間で京都にいました。
専攻は経営学でしたが、企業の経営ではなく、行政とかNPOとか市民参加とか、いわば公的な経営に興味をもっていました。
読んできた本の数が多いかどうかはわかりませんが、大学院生として過ごした中で従来の企業を対象とする経営学、組織論の研究者から評価が高いのは、田尾雅夫氏の本だと思います。約1年前くらいに有斐閣から『非営利組織論』の名前で教科書的なものを共著で出されました。私自身はまだ未読ですが、この他にも『ボランタリー組織の経営管理』『ヒューマンサービスの経営』などが主にNPOを対象として書かれた本です。ちなみに、この人自身は企業と自治体を比較した『行政サービスの組織と管理』(という題名だったと思いますが)で組織学会賞をとられ、それから一気に名が知られるようになったかと思います。
ただ、おそらくは実際のNPO関係者の人からみれば、企業の場合もそうでしょうが、学者というのは一種、距離をおいて傍観者的に眺めて批評することが多いので、田尾先生の本などもNPOの人からすれば批判される部分もあるかと思います。確かに理屈はそうだけどねぇ、ってな感じで。
一方で、現在の日本の大学でNPO研究を生業としている人たちの中には、実際にNPOで活動し、それをいわば経験論的に語る形で研究者になった人たちもいます。日本NPO学会などは、まさに実際のNPO関係の人たちが多くを占めている印象があります。
実際にNPOの活動をするなかで名前が知られるようになったり、大学との接点が生まれる形で評価され、研究者になったり、兼業で大学で教えるという人たちも散見されます。
そういう人たちが書かれた本は先ほども触れたように、どちらかといえば自らの経験を叙述的に語る感じなので、純粋に学者としてやってきた人たちからするとちょっと運動論ぽい印象もあり、対立とまではいかないですが、マネジメントという見方からするとちょっと違うんじゃないの、という意見もあります。
他方で、私が長岡に戻るまで大学院生として研究アシスタントの仕事をしていた大学では、純粋にアカデミズムの世界の出身者、つまり大学以外の世界で社会人としての経験がなく、そのまま学者になった先生方が実際のNPOや行政の人たちの協力も得ながら、研究プロジェクトを立ち上げていました。
そういう活動の中で、NPOにいた人が大学の先生になったりという例も実際にあります。
自分としては途中まで研究者を目指していたので、ちょっと距離をおいてNPOや市民活動を見ている部分はあるかなと思っています。また、そういう立場で実際のNPOの方々や行政の方々と接してきました。
そういう広い意味で公共政策をちょっと距離をおいて見てきた自分がどのように変わっていくのか、またその経験がもしかしたら活かせるのかもしれないとも思っています。