【 欹 器 以 満 覆 】
(読み…いきはみつるをもってくつがえる)………菜根譚(さいこんたん)
(訳…器(うつわ)も一杯になれば必ずこぼれる、満ちて覆(くつがえ)らないものはない)
~ 元文は【欹器(いき)は満(みつる)を以(も)って覆り(くつがえ)、撲(ぼく)満(まん)は空(むな)しきを以(も)って全(まっと)うす】
【故(ゆえ)に君子(くんし)はむしろ無(む)におるも有(ゆう)におらず】
【寧(むし)ろ欠(けつ)におるも有(ゆう)におらず】~
(訳…欹器(いき)は空の時は傾き、水を半分入れると真っ直ぐに立ち、水を一杯に満たすとひっくり返ってしまうと言う器。撲(ぼく)満(まん)は土器製の貯金箱で、中が空であるからこそ、その形を完全に保っている。満ちて覆らない者はいない。
故に、リーダーは“無(む)”の境地に身を置き、不足を善として完全を求めない)
欹器(いき)は【有坐(ゆうざ)の器(き)】とも言われています。常に自らを戒める為に、座右に置いたものと思われます。
☆…【足(た)るを知(し)れば辱(はずかし)められず】…老子
(何事も控え目にしていれば、辱しめを受けない)
これを【止(し)足(そく)の戒(いまし)め】といっています。