【 覆(ふく) 水(すい) 盆(ぼん) に 返(かえ) ら ず 】………拾遺記(しゅういき)
(訳…覆水(ふくすい)とは、こぼれた水のこと、盆(ぼん)とは水などを入れる平(ひら)たい鉢(はち)のことで、盆からこぼれた水は二度と元の盆に戻すことは出来ないことから、別れた夫婦は復縁しないことや、取り返しがつかない事の例えです)
~これは、【太公望(たいこうぼう)】が言った次の言葉が出典です。
【若(なんじ)、能(よく)く離(はな)れて更(ふたた)び合(あ)わんとするも、覆水(ふくすい)は定(さだ)めて収(おさ)め難(がた)し】
(そなたは、別れてもまた、元に戻れると思っているようだが、ごらん、盆からこぼれた水は、もう二度と元に戻れないのだよ)
これも、よく知られている故事ですが、第一回の【太公望(たいこうぼう)】に係わっています。太公望の名前は呂(りょ)尚(しょう)といいます。
その呂(りょ)尚(しょう)に馬(ば)氏(し)と言う名前の妻がいました。呂(りょ)尚(しょう)は働きもせず、読書ばかりしていたので、妻は愛想をつかして離縁しました。
ところが、第一回でご承知のように、その後、呂(りょ)尚(しょう)は周(しゅう)の文(ぶん)王(のう)にみそめられ、大変出世をしました。また、斉(せい)の国の元祖(がんそ)にもなりました。
離縁した妻は復縁をして欲しいと頼みました。
その時、太公望は盆の水を床にこぼして、『この水(みず)を盆(ぼん)に戻(もど)してみよ』と言ったことからの故事です。この後、元妻は自殺をしてしまいました。
確かに、太公望は偉い人だと思いますが、皆さんは、太公望という人をどう感じられたでしょうか。~