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『癌治療の緩和ケア』の前に考えること

skymaxです。

先日の『サイエンスゼロ』(NHK教育)のテーマは『緩和ケア』でした。

私はまだ三十路にさしかかったばかりの若い妻を癌で失いました。
その前後は随分悩み苦しみました。


『生きるとは何か?』

この問題を明確にすることなしに病気の治療あり得ません。
癌を発病して一番辛いのはもちろん本人です。
しかし実は家族もそれ以上に辛いのです。

病気は治療するのが当たり前と考えがちですが、果たして本当にそうでしょうか?

治療にはお金と時間がかかります。
そればかりか、数字にはならない手間や物理的、精神的な心労もかかります。
それは癌患者本人ではなく、家族の最も責任ある立場の者が背負う問題です。

周囲の親戚・知人の無責任な善意が、逆に負担なることもあるのです。


私はその時に実家の過去帳を思い出しました。

以前、実家の歴史を調べようと、仏壇の過去帳を読み解いたことがあったのです。

過去帳にはその家から葬式を出した記録が記されていました。
私の実家は約200年前に分家した古い農家だったようです。
ところが、明治時代に没落して全ての農地を失いました。
そのことは、祖母や父に聞かされて知っていました。
ところが、過去帳にはその頃にもっと大変なことがあったことが記載されていました。

明治初めのある年、一年足らずの期間に六人もの家族が亡くなっていました。
五人が子供で、一人が老人です。
約二ヶ月おきに亡くなっていました。
流行り病か何かでしょうか?

過去帳には理由は記載されていません。

ほとんどの財産を失った時期、私の実家ではそれ以上の深い悲しみに包まれていたことは間違いありません。

このことは祖母や父からも聞かされてはいませんでしたので、私は大変に驚きました。

しかし、今現実に私はここに生きています。

私の先祖は深い悲しみのどん底から立ち上がり、次の世代の私たちへと命を渡してくれたのです。

今、私が何を最優先すべきか。

140年前に私の先祖も同じ問題で悩み、苦しんで結論を出したはずです。

私は先祖と同じ選択をしました。
相談は出来ませんでしたが、妻もきっと同じことを考えると確信して。


私の選択は…後に残された子どもたちを最優先に考えることです。

人は何のために生きるのか?
私は『愛するもののため』だと思います。
『愛』こそが、人間が人間である最も大切な証です。

それがわかれば、癌治療をどうするのか、緩和ケアをどう考えるのか…実際の問題の解決に迷うことはありません。

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2009年12月04日 12:01に投稿されたエントリーのページです。

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