当団体の活動における現場のリーダー的存在の谷井さん。
彼は、昨年起きた「小学校におけるイノシシ捕り物劇」の主役。
ハンターでもある彼がたまたま現場近くを通りかかった時の出来事だった。
大人に大ケガを負わせるほどの大きな牙を持つ凶暴な獣相手に、やむを得ずナイフを使用したため、学校にはイノシシの血が流れるなど、一時は周辺を騒然とさせる大捕り物劇の末、パニック状態で大暴れしていた獣は彼によって取り押さえられた。
彼がいくら獣扱いに慣れていたとは言え、少し誤れば、太腿の大動脈をその牙によって引き裂かれ一命を落としていたかもしれない状況で、まさに身体を張り命を賭けて子ども達を守った彼の勇敢さは称えられて当然のことだと思ったのだが、実際には、、、
「子ども達の命を守ってくれてありがとう」と本来は真っ先にお礼を言ってきてもらいたかった学校側からは、しばらくの間 電話の一本もなく、何ヵ月も後になってお礼の訪問があったということらしく、その上、逆に、「イノシシを虐待した」とかの誹謗中傷のメールが心ない市民から送られてくる始末。
お礼を言ってもらいたくてしたことではないと言う彼だったが、命を賭しての行いに対して、この扱いはあまりにもおかしくはないだろうか!?と、私は淋しく思っておりました。
その事件から約一年が経とうとしていた先月末、彼を表彰したいとの連絡が長岡市からあり、下の写真と相成りました。
賞状を持っているのが彼で、お隣は長岡市危機管理防災本部の監理官です。
これで彼も僅かながら報われた気がしたことでしょう。ようやく×3…です。
しかし、、、これで良しとしてしまって良いのだろうか!?
今年もまたイノシシ出没の季節を迎えている。
また同じようなことがあった時に、彼はどうするだろうか?
誰からも大して誉められないのに、誹謗中傷され嫌な思いをしたのに、それでも、また、子供たちのために勇気を奮い立たせて、命を賭して獣に立ち向かって行けるだろうか?
命を賭けることなど、簡単にはできることではない。
そこに「思い」がなければできるものではない。
「たとえ自分の命を犠牲にしても子ども達を守りたい」という強い思いが。
お礼を言われるどころか誹謗中傷メールを送られてしまった「やり切れなさ」から、彼がその「思い」を失ってしまっていても何の不思議もない状況だった。
今回の表彰は、それを打開するのにいったいどれほどの効果があったのか!?それは彼にしか分からない。
彼が、まだその「思い」を持ち続けてくれていることを祈るのみです。
勇気を奮い立たせ身体を張り命を賭して子ども達を守ってくれる人が、彼の他にも大勢現われてくれるようになれば、世の中も少しは安全になっていくのだろうが、「お礼もない」「誹謗中傷される」「表彰は一年も経ってから」…こんな状況で、安全への「思い」が社会に醸成されていくとは、あまり考えられない。
これで良いのだろうか?