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「電話」と「メール」の通信の違い

[掲示板]で、私が、「学校における電話連絡網」について発言したところ、会員のちー坊さんから次のようなコメントがありました。
…………
災害時、電話は繋がりにくいと思います。
ですが、メールも災害時って繋がりにくくないですか?
私は中越地震、中越沖地震と震源の近くにいました。
なかなかメールも電話も伝わらなくイライラした記憶があります。
どっちもいい面、悪い面があって、どっちかと言われると悩みます…
何かいい方法があればいいのですが…
…………
ちー坊さんの子どもさんが通学している小学校では、未だ昔ながらの伝言リレーの電話連絡網を使っているようですが、
相手に伝言が伝わったかどうかを確認するという点においては、メールより電話のほうが確実だというご意見を、彼女はお持ちのようです。
この点については、10日に投稿した記事(小学校における防災訓練で携帯メールの有効性実証)を参考にご覧いただければお分かりの通り、「開封確認」という手段を使えば簡単に伝わったかどうかを確認することができるので、そちらの記事もご覧ください。

さて、それでは、災害時には電話のみならずメールもつながりにくいのでは?というちー坊さんからのご質問にお答えします。

■「電話」と「メール」の通信の違い

音声通信によるデータ通信は基本的に相手と接続している間、その回線を占有します。
途中で誰かの会話が割り込んできたりしないことがその証拠。

一つの基地局から中継できる通信量は制限のあるものですから、その限られた中の部分的にでも、音声通信のように、回線を占有している状態のものがあれば、他の通信に影響を与えるのは当たり前で、災害時に皆さんが通話しようとすると、すぐにパンク状態になるのはこのためです。

一方、メールやサイト閲覧など音声通話以外のサービスに広く利用されているのは「パケット通信」という仕組みで、これは、やり取りするデータを小さなパケット(小包)に区切って送信する仕組みのことで、回線を占有することはありません。
言い換えれば、一つの回線で何人分もの通信を可能にしている訳です。

なので、「音声通信」と「パケット通信」を比べれば、
はるかに「パケット通信」のほうがつながりやすいのです。

では、なぜ、ちー坊さんは震災時にメールが通じない状況に陥ったのか?

原因として考えられるのは、ちー坊さんが混雑状態の基地局を利用して通信しようとしていたのではないか!?ということです。
震源地周辺ではおそらく大勢の人が一気に通信を試みていたでしょう。
人が山ほど集まっている避難所等でも、また同じことが言えます。
同じ場所から行われる通信は、同じ基地局で処理されますので、その際の通信が大量であれば基地局の能力を超えてしまい、パンク状態になってしまうことが容易に考えられます。
通話よりずっと通じやすいはずのパケット通信とて、基地局がパンクしてしまえばどうしようもありません。

しかし、だからと言って「災害時にはメールも通話も同じように使えない」と結論付けるのは早計です。
なぜなら、メールの場合は音声通信と違って、通信者の工夫一つで状況を改善できるからです。

工夫とは…自分のほうが通信のつながり易い場所に動くこと。

人が大勢集まっている場所から通信しようとすることは、重量オーバーでブザーの鳴っているエレベーターにさらに無理やり力づくで乗り込もうとしているようなもの。
ブザーが鳴っていると分かったら、混んでいない別のエレベーターに移動するのは当り前のことです。
メールなら少しのスペースがあれば、そこに小包(パケット)を放り込んでしまえば良い訳で、よっぽど集中的に大混雑しているエレベーターでもなければ、小包の大きさ程度なら必ずスペースが空いているはずですから、移動する価値は大ありです。
つまり、メール(=パケット通信)を試みた時、混雑していて送信できないようなら、自分が移動(工夫)すれば通信可能となるのです。

ところが、これが音声通信となるとそういう訳にはいきません。
音声通信は、小包の何十倍もある大きな段ボールの荷物のようなもの。
別のエレベーターに乗るためにせっかく移動しても、そのエレベーターで、災害時に大きな段ボール荷物が載るほどの大きなスペースが空いているとは思えません。
つまり、移動しても移動しても、徒労に終わってしまうことが多いのです。


最後にまとめると...

・パケット通信(メールやサイト閲覧)は、通話とは通信方法が異なるので、災害時でも通信できる。
・たとえ通信できなかったとしても、自分のほうが移動するなどして工夫すれば、パケット通信(メールやサイト閲覧)ならできる。

です。

さて、たとえ話を交えながらご説明させていただきましたが、ご理解いただけたでしょうか?

ちなみに、学校で連絡網としてメールを活用する場合、学校における緊急レベルであれば、災害時と異なり、通信が大混雑するというようなことは考えにくいので、「メールが通信できない」「自分が移動しなければならない」などということはないと考えていて結構です。

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コメント (2)

ムササビ:

先日の台風や最近のインフルエンザに伴う休校・学級閉鎖、電話連絡網の限界は既に見えています。

私は町内子ども会の連絡はメールの同時配信を利用していますが、本当に便利です。

メールの活用は私のように、普通のお母さんたちとは忙しい時間帯が異なる人間には大きなメリットです。
お母さんたち中心のPTA活動から、お父さんたちも参加出来るPTA活動の為にも、メール配信は必要だと思います。

笠井/住民安全ネットワーク:

ムササビさん、コメントありがとうございます。

まったくおっしゃる通り、台風やインフルエンザなどの最近の出来事だけを取ってみても、「電話連絡網の限界」は疑う余地のないところだということに同意見です。

今回の台風、インフルエンザの際に、
すでにメール連絡網システムを導入している小学校でどのようにメールが活用されのかということを、16日付けの投稿でご紹介したいと思います。

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2009年10月14日 06:24に投稿されたエントリーのページです。

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