笠井です。
昨日に引き続き、特派員さんから提供いただいた記事を紹介いたします。
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生まれて初めて裁判所の法廷に入りました。
中学生の娘と小学生の娘も学校を早退させ、一緒に裁判所に行きました。
娘はスケッチブック持参です。
私たちは被告人のすぐ後の傍聴席に陣取ました。
約10m四方…学校の教室より一回り大きな部屋。
部屋面積の割に高い天井…約5m…通常の倍近い高さ。天井扇がゆっくり回っています。
当たり前ですが、テレビドラマで見るのと同じレイアウト。
開廷の時間になり、裁判長と被告人が入廷。
被告人は二十代前半の痩せ型の男性。
薄汚れたTシャツを着て、ボサボサの頭。
焦点の定まらない目、年齢の割に幼い顔。
私と一瞬目を合わせるものの逃げるように目をそらしてしまいました。
被告人は紺色の拘束衣を着せられ、腕には拘束具を付けられています。
被告人の両脇にはがっちりした体格の警官が控えています。
テレビドラマのように現場の熱血刑事も証人もいません。
裁判官から被告人まで、総勢僅か7人。
被告人の本人確認の後、検察から事件の経緯が説明されました。
犯人の男性は学校卒業後、職に就いたものの退社。
新しい職場にも馴染めず、小遣い欲しさに犯行に及んだ…と検察から事件の説明がありました。
ところが、その後の大半の時間は裁判長閉廷提出した事件の調書のページ番号の確認だけ。
(なんじゃこりゃ)
テレビドラマのようなサプライズはありませんでした。
最後に裁判長が弁護士に小言で一言。
「今月の…日、空いてる?…そう、午後1時半でどう?」
検察の方に向かって、同様に確認すると…閉廷。
逮捕から1ヶ月半かかってこれだけ?
閉廷してから、初めて被告人の母親と話をしました。
泣き崩れて頭を下げ続ける姿は痛々しいものがありました。
しかし父親の姿は無し。
母親の内縁の夫(同居中)の姿も無し。
そこに犯人の男性の不幸があるように思えました。
裁判所からの帰り、自動車の中で子どもたちに言いました。
「子どもが悪いことをするとお母さんはあんなに悲しむんだよ」
実は私は裁判員に選ばれていました。
…が、仕事の関係で辞退。
それがまさかこんな形で裁判を傍聴するとは。
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