« 「運動神経」myskip08年6月号 | メイン | C-netsセミナー/考動変革 »

回り回って「前原さん、がんばれ」「長妻さん、よろしく」

笠井です。

「障害者自立支援法」…障がいに何の関係のない人でも一度くらいはこの法令の名前を耳にしたことがあるだろう。
そして、これがあまり評判が良くなかったということも、皆さん、何となくご存じだったのではないかと思う。

障害者自立支援法によって、福祉サービスを受ける障がい者側に、受ける福祉サービスの量に応じた原則1割負担が導入されることが決定し、2006年の10月より本格施行されていた。ところが↓
<障害者自立支援法>廃止へ 厚労相、新制度に着手(09/22 16:44)
民主党政権の目玉的存在である「Mr.年金」こと長妻厚労相によって9月19日、とうとう同法の廃止が明言された。

これから、この法令はいったいどのような内容に変わっていくのだろうか?
障がいの子を持つ親の一人として、注意深く見守っていきたいと思っている。

そもそも、障害者自立支援法に、福祉サービスの量に応じた原則1割(応益)負担が導入されたのはなぜか?
引き金になったのは、2003年に始まった「支援費制度」だ。
障がい者が自由にサービスを選べるようになり、利用者が増加。財源不足に陥った国は、サービス費用を障がい者を含め、皆で支え合おうとの考えを打ち出し、支援法で所得に基づく「応能負担」から「応益負担」への転換を進めた。
そして、福祉サービス利用者のうち約9割に費用の負担が生じることに。
受けるサービスが多い重度障がい者ほど負担が重くなり、福祉サービスの利用を控えたり、施設から退所したりする人が相次いだ。
推計720万人とも言われる身体・知的・精神障がい者たちと向き合う現場では、見直しを求める声が上がっていた。

「応益負担」は「障がいは自己責任」という考え方に基づくもの。
福祉先進国のヨーロッパでは、利用料負担はないか、あっても所得に応じた負担、つまり応能負担が主流なのに対して、日本が多くの当事者たちの反対を押し切ってまで法令を施行し、応益負担に踏み切った背景には、日本の障がい者福祉関連予算の低さが根底にあるのだろうと思う。(日本の障がい者福祉の予算レベルの低さはOECD(経済協力開発機構)29ヶ国中、下から3番目に低い水準だ)

障がい者福祉に関する予算が低いことに問題があるのならば、それを上げればいいじゃないか!?と思う方もおられるかもしれないが、財布は一つ、福祉の予算を上げるには、どこかの別の予算を下げなくてはいけないのだから、そう簡単にはいかない。
そういった意味からも、私はいま民主党新政府による八ッ場ダム問題などに象徴される箱物行政見直し、ムダ排除の手腕に注目している。

確かに、ダムのせいで何十年も翻弄されてきた地元住民の身になってみれば、「もうこれ以上気まぐれに振り回すのはやめてくれ」と言いたくもなるだろう。
しかし、それらの方々だって、言葉を尽くして説明すれば解ってもらえるはず。
少しだけ周りを見渡せば、障がい福祉に代表されるように、本来もっと予算をつけねばならない部分に予算が付いていなくて、その問題はダム問題と同じように自分たちの身にも降りかかっているのだということに気がついてもらえるのではないだろうか!?

国土交通相の前原さんには、地元住民に何度でも頭を下げてもらい、何とか中止に理解を得てきてもらいたいと思います。
自民党政権の置き土産を背負わされた形の前原さんにはお気の毒としか言いようがないが、それこそが政治家の仕事!私は応援しています「前原がんばれ」。

今まで箱物に掛けていた何兆円ものお金を、少しずつ、不十分だったところに回していくことで、日本という国を少しでも良い国に変えていってもらえればなぁと思います。

最後に、、、
障害者自立支援法について一言。
私は、この法令をきっかけに、「いま自分が障がいの子の親として何をするべきか」と考えさせられ、「気づき」をもらった。
そして、その気づきに基づいて具体的な行動を起こしたことで、同じ思いを持つ福祉関係の多くの仲間に出会った。
この法令に出会わなければ、気づきを得られなかったかもしれない。
そういった意味ばかりという訳でもないが、私は障害者自立支援法をそれなりに高く評価していた。
今後、支援法がどのように変わって行っても、甘えて何もしない、行政頼み、福祉頼みの障がい者とその親たちが大勢いる内は、障害福祉に明るい未来はないと感じている。
長妻さん、頑張って良い法令を制定してください。よろしくね。


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://jmjp.jp/mt/mt-tb-jmjp.cgi/4032

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

※名前、メールアドレスは必須項目です。

災害時要援護者支援システムのご案内 学校ホームページの運営・支援のご案内

上記リンクをクリックした先で買い物をしていただくと当NPOに数%の手数料が入り、団体の活動費として活用されます。是非ともご協力ください。

About

2009年09月24日 08:44に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「「運動神経」myskip08年6月号」です。

次の投稿は「C-netsセミナー/考動変革」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.35