笠井です。
13日、息子と二人でお墓参りに行くため、彼を車に乗せて走っていたところ、ある家の前を通過した時に彼がこんなことを言い始めました。
息子:「この家の人、この前、家の中で一人で亡くなってたんだってさ。すごい異臭がしたらしく、警察とかが沢山来てけっこう大騒ぎだったらしいよ」
私:「へぇ、そうなんだ。なんでそんなこと知っているの?」
息子:「この近くに仲のいい友達がいて、そいつから聞いたんだよ」
私:「なるほどね。その亡くなった人は高齢の方だったの?」
息子:「いや、年齢はそれほどでもなかったみたいだよ。聞いたところによると、その人はダウン症で、一人暮らしだったんだってさ」
ダウン症の人が一人暮らし…そして、家の中で、誰にも知られず、ひっそりと亡くなった。
私の娘もダウン症だ。
他人事ではない。
少し前の話ですが、障がいの子を持つお母さんに質問したことがある。
「自分が死んだ後、自分の子がどんなふうに暮らして行くのか?考えたことがありますか」と。
すると、こんな答えが返ってきた。
「自分が死ぬ時は、子どもと一緒に命を絶ちます」
「私は絶対に、子どもより先に死にません」
中には、うっすらと目に涙を浮かべておられる方もいた。
この回答…いかに深く子どものことを愛しているのか、その気持ちが伝わってくる言葉では確かにあります。
しかし、ただそれだけのこと。
実際には、子どもの命を絶つなんてことはできっこないし、普通には親のほうが子どもより先に死ぬものだと、言っている本人が分かっているはず。
ってことは、この答え・・・自分をごまかしていることになりませんか?
「自分が死んだ後の子どものことなんか何も考えていない」…だけど、そんなことを言う訳にいかないので、「一緒に死ぬ」とか「死なない」とか言っているのではないですか!?
親亡き後の障がいの子は、誰かに助けられて生きていけるのだと呑気に考えているのであれば、その考えは今すぐに改めましょうよ。
また、たとえ、誰かに手を差しのべられて生きれたとしても、その暮らしがその子にとって幸せなものであるかどうかは分かりませんよね。
もしかしたら、福祉施設に入れられて、何の楽しみもなく生きていかねばならないかも!?
前述の例では、もしかすると、そういった暮らしが嫌で、自分のほうから支援を断って、頑固に一人で暮らしていたのかもしれません。
たとえどんな事情があったとしても、
一人暮らしのダウン症の人が、たった一人で死んで行く…誰にも知られずに…こんなに悲しいことはない。
コメント (1)
「子供より先に死なない」「子供と一緒に・・・」というのは母の希望であって、親亡き後を考えた発言ではないですね。
でも、同じ障害者の親として、その発言の裏にある気持ちはとてもよく分かります。
私も子供が小学生の頃までは「子供より一日でも長生きしなきゃね!」って親の会の仲間とよく話してました。
それから10年経ち、子供は勢いのある青年になり、自分の年齢をひしと感じるようになると、子供を置いて先に旅立つ現実を目の当たりにします。
その時にどのように動くかは親次第ということですね。
亡くなられた方は一人暮らしとのことですから、障害があっても自立した生活が出来たわけでそれは立派なことです。
ただその方を支えるコミュニティがなかったために発見が遅れたわけで、仕事(福祉的就労など)はされてなかったのかなぁ?とか、お友達はいなかったのかなぁ?とか、ご近所の方はどうされてたのかなぁ?などといろいろ考えてしまいました。
どこかに何らかの形で所属してたら、万一のことがあったとしてももっと早く発見されたでしょうに・・・
成年後見制度、コミュニティフレンドなどのセイフティネットの必要性を感じました。
投稿者: ごんちっち | 2009年08月17日 17:23
日時: 2009年08月17日 17:23