笠井です。
下の画像は、一週間前に新潟市で開かれた『 いま「協同」を拓く2008全国集会 』の模様です。
参加してみて、学んだこと、感じたことなどを投稿します。
いま世界では、地域社会の課題解決を寄付や公的資金に依らず、組織自らの事業活動を通じて解決していこうという「社会的企業」という新しい考え方が広まりつつある。
日本では、高齢者介護サービス、まち作り、地域再生、障がい者生活支援などに見ることができますが、ビジネス手法を中心とする活動はごく僅かであり、社会的にも認められたものになっていません。
イタリアでは06年に社会的企業法が施行され、「社会的企業」として認められれば、行政が事業の委託先を選定する際に優先されたり、税制面での優遇措置が講じられている。これは株式会社であっても社会的貢献に関する一定の条件さえ満たせば同様に扱ってもらえる。
これと同様の制度がすぐお隣の韓国でも既に導入されている。
日本はどうだろうか?
今の日本の企業は社会性を有しているだろうか?
日本の行政と企業の関係はどうだろうか?
今の日本に「社会的企業」として認められるような企業が果たしていくつくらいあるのだろうか?
たとえば、障がい者の側から企業を見てみると...
障がい者雇用促進法で、「企業は全従業員の1.8%を障がい者とせよ」と決められているのにもかかわらず、障がい者の雇用は一向に進んでいないのが現状で、障がい者を雇用すれば様々なリスクや経費が企業側に発生することから、そんなことなら法定雇用率を守らず、それによって発生する罰金を払っていたほうがまだまし、と考えている企業が多いようだ。
「自分たちさえ儲かれば良い」と浅ましい考え丸出しのそういった企業たちは社会側から手痛いしっぺ返しを受けやがては消滅していくだろうが、自然淘汰に任せている感の否めない行政側の無策ぶりにも少々苛立ちを覚える。
法律を遵守しないけしからん企業たちを本来なら指導監督していかねばならないはずの立場の自治体。
ところが、自治体はそんなけしからん企業にも平気で仕事を発注しているのが現状。
財政難に悩む自治体はそれが顕著で、仕事を発注する先はとにかく安さで決めるといった有様。
少しでも安いところなら、その企業が障がい者雇用を遵守しているかどうかなどお構いなしだ。
これでは、障がい者雇用など進むべくもない。
あー情けない。
「これからの仕事は、社会貢献度の高い企業に優先発注します。」
「障がい者の法定雇用率を遵守していない企業には、一切の発注を停止します。」
もしも、こんな宣言を行政側が出したら…。
おそらく今度は、仕事欲しさのために社会貢献に積極的になり、障がい者の雇用も急激に進むだろう。
企業側の「自分だけが儲かれば良い」という浅ましい考えは簡単には改められないとしても、その浅ましい根性を逆手に取って、結果的に社会を良くすることができる。
これが工夫というものではないだろうか!?
なぜ、これくらいの簡単なことができないのか!?と不思議に思っているくらいだ。
さて、再びイタリアのお話。
イタリアには「社会的協同組合」が7000団体以上あり、福祉や保健、教育、農業などを手がけ、大勢の障がい者達が働いている。本当に素晴らしい。
先程の方法で企業が仮に障がい者法定雇用率を達成するようになったとしても、それは行政が障がい者の「就労斡旋」をしているに過ぎないから、真の問題解決には至っていない。
本当に必要なのは「就労斡旋」ではなく「就労創出」。
障がい者の働く場を作っていくことこそ必要なのである。
その意味で、イタリアの社会的協同組合は実に素晴らしい仕組みだと思える。
きっと日本にだってできるはず。
イタリアとて、社会的協同組合の第一号は障がい者の親が作ったのだから、今こそ障がい者の親が起ち上がるべき時期なのではないかと思う。
障がい者の就労の場を創出していくために、障がい者の親が団結すること。
それが、第一歩だ。
コメント (3)
ムササビです。
少し生意気なことを書きます(いつも?)、ごめんなさい。
私はこの問題について全くの素人で、家族や身近な人に障がいを持った人はいません。
しかし(極小規模ですが)雇用する側として、コメントさせて下さい。
企業にも雇用しなければいけない義務はあるとは思いますが、就職活動する側にも自分を売り込む努力は必要ではないでしょうか?
障がいを持つ人はひとくくりに出来ない多様なスキルをお持ちだと思います。
健常者に比べ、かなわないことが多い反面、特定の分野では素晴らしい集中力を発揮する方もいると聞いたことがあります。
新たな差別になっては困りますが、それぞれの能力・個性に応じた就職活動が考えられるのではないでしょうか?
私たちは誰でも事故や病気によって、いつ障がい者になるかわかりません。
だからこそ、障がいを持っている方のことを他人ごとのように思わないのだと思います。
ところが、実際の我々にはあまり知識がないのです。
問題を抱えた方に、聞いてはいけないと思い込んでいるのかもしれません。
でもそれが問題を、とてもわかりにくくさせているように思うのです。
障がいを持つ方も、ご自分を売り込む努力をもっとなさったらいかがでしょうか?
業種に問題があるのかもしれませんが、私のところには一度も障がい者の方から、就職に関する問い合わせを受けたことはありません。
就職活動は企業から声がかかるのを待つことではありません。自分から進んで、声をかけるものではないでしょうか?
勿論、親や教師ではなくご本人から。
「そんなことが出来れば苦労しない」といわれそうですが、きっと苦労したくないのは企業も一緒ですよ。
…ここまで勢いで書きましたが、私自身の勉強不足ゆえに誤解・偏見もあろうかと思います。
笠井さん、また色々と教えて下さいね。
投稿者: ムササビ | 2008年12月01日 10:38
日時: 2008年12月01日 10:38
すみません。日曜日?長岡技大にて、障害をもつ人達の就労支援のセミナーがあったらしいのですが…もし知ってたら教えてください。
投稿者: だらりん☆ | 2008年12月01日 13:22
日時: 2008年12月01日 13:22
ムササビさん、だらりんさん、コメントありがとうございます。
まず、だらりんさんへ。
日曜日の件ですが、私はそこに参加しておりませんでした。
なので申し訳ありませんが、何も分かりません。
要するにどんな内容だったのか知りたい訳ですよね!?
でしたら、私が、このブログで情報提供を呼びかけてみます。後ほど...。
さて、ムササビさんへ。
素晴らしいご意見だと思います。
私も同感です。
ただ障がい者本人が就職活動をするという点には、障がいの種類や特性によっては無理な場合がありますが、総論大賛成です。
私がいま関わらせてもらっている新潟の福祉ネットワークでは、障がい者の能力を指数化した上で公開し、障がい者を雇用したいと考えている企業側に参考してもらってはどうかという議論をしています。
従来の福祉の世界では、障がい者に点数を付けるような真似はタブー視されてきました。
しかし障がい者の自立を真剣に考えるのなら、それをやって当然、やるべきなのではないかと私たちは思っています。
未だ議論の段階から脱せませんが…。
障がい者に点数付けるなんてとんでもない…おそらく行政は障がい者家族側からの反発を恐れて、そう言うでしょう。
しかし、それでは困るんです。
企業で働いてちゃんと給料もらって普通に暮らす…そうならなければ、障がい者は生き生きとした暮らしができないのですから。
行政ができなければ誰がやるのか!?…障がい者の家族がやるしかないですね。
投稿者: 笠井/住民安全ネットワーク | 2008年12月01日 15:26
日時: 2008年12月01日 15:26