笠井です。
LD(※1)やADHD(※2)などの軽度発達障がい児の親の会の「いなほの会」。
その長岡地区の会長・沼田さんと懇談しました。
聴いたこと、感じたことなどを書きます。
一般に障がい者は福祉から何らかの援助を受けることができます。
ところが、「軽度発達障がい」は別で、この種の障がいは福祉手帳がもらえない場合が多い。
つまり、障がいでありながら、福祉から援助を受けられない状況になっているという訳です。
そういった親たちは、子どもの面倒も見て、なおかつ、自分も働きに出ねばならない…といった場合が多い。
一般には「障がいの程度が軽度なんだから良かったのでは!?」と誤解されているようだが、実は「軽度だからこそ返って大変」という面が多いらしい。
それらの親たちが直面する問題は沢山ある。
・特別支援学級に入れるべきかどうか?
・健常者の親からも、他の障がいの親からも、どちらからもあまり理解してもらえない。
・学校内でのトラブルが絶えない。
・不登校になりがち
などなど。
そして、山積する問題に取り組む内に、親子間の距離は縮まり過ぎてしまい、ある時から、[自分は子どもの完璧な寄り添い人]と思い込むようになってしまう。「子どもの言いたいこと、考えていること、すべては自分しか分からない。」と思い込む。
終いには、何でもかんでも、子どもが言う先々に親が代弁してしまうようになる、、、これでは子どもの人権を無視しているのと同じことだ。
「モンスターペアレンツ」現象が近年社会問題化しているが、
おそらくは、その中に、こういった障がいの親が多く含まれているのではなかろうか!?
私の娘の場合は知的障がいに分類される障がいを持っているが、
親子間の距離が縮まりすぎているという点では、やはり同じようなことが言える。
ウチの場合も含め、障がい親たちに全般に感じるのは、
・目先のことしか見えない、考えない。
・いつもその場凌ぎ
・子どもが大人になった時のことを考えない、考えられない。
・視野が狭いから思い込みが激しく、であるが故に行動が突飛で、そのくせすぐに挫けて自信を無くす。
・子どもが障がいを持って生まれたのは自分のせいという思いから、自己肯定感を持てなくなってしまっている。
私が考えるに、障がいの親、殊に母親に関してはこのような傾向があるように思える。
上記項目の内のいくつか当てはまるのではないだろうか!?
そういった母親たちは概して「父親は何もしてくれない」と感じている人が多い。
頑張っているのは自分だけで、父親も、他の家族も、結局何もしてくれない、自分のことを理解してもらえない、と程度の差こそあれ、多かれ少なかれこういった不満を持っている人たちが実に多いのである。
子どものために障がい福祉関連事業に自主的に取り組んでいる私でさえも、家に帰れば「子どものことを何も分かっていない、考えていない、していない」とバッサリ斬られてしまうことがしばしばある。
ある福祉作業所の職員からは、こんな話を耳にした。
作業所のほうで、何か新しい取り組みをしようとすると、そこに横やりを入れてくるのが障がい者の親なのだそうだ。
「新しいことなどしてもらわなくて良い」「子どもには居場所さえあれば良い」と言ってくるのだそうだ。
障がいの子の最大の支援者であるべきはずの親、障がいの子の自立を最も真剣に考えねばならないはずの親が、実は子どもの自立を阻んでいるという驚きの実態が、そこにはある。
障がいの子を持つ、世のお母さん達よ。
もっと広く周りを見ましょう。
もっと先を見るようにしましょう。
あなたが、子どものためにしていることは、もしかすると子どものためになっていないのかもしれません。
子どもの自立を云々言う前に、まずは、あなた方ご自身が自立を考えねばならないのではないですか!?
あなたが死んでしまった後、子どもはどうなってしまうのか、本当に、真剣に、考えたことがおありですか!?
子ども達の将来のために、いま自分が何をして行くべきなのかを考え行動を起こしていきましょう。
そこに、障がいの子の親としての使命を見出しましょう。
※1
LD:「学習障がい」のこと。学習障がいとは、聞き、話し、書き、推理する能力、算数の能力を取得したりするのが著しく困難な、さまざまな問題群の呼び名である。そのような問題は、生まれつきの中枢神経の働きの障がいによるものと考えられる。
※2
ADHD:「注意欠陥・多動性障がい」のこと。集中困難・過活動・不注意などの症状が通常7歳までに確認されるが、過活動が顕著でない不注意優勢型の場合、幼少期には周囲が気付かない場合も多い。
コメント (1)
ムササビです。
この問題は難しいですよね。
家族にそのようなお子さんがいる方の気持ちは、部外者にはわからないかもしれません。
確かに親御さんが甘やかしているような印象を受けることもあります。他人の家の躾に口出し出来ませんが、こちらが迷惑を被ることがあります。
実は先日、こんなことがありました。
以前から万引きを繰り返している形跡のある若い男性がいました。
ようやく現場を押さえたのですが、彼は軽い知的障害を持っている人でした。
警察へは連絡しませんでした。彼が私から逃げようとせず、正直に住所や電話番号を話してくれたからです。
彼には母親がなく、父親と祖母によって育てられたそうです。
もしかしたら、甘やかされて育ったのでしょうか?
私は彼に万引きが何故いけないのか話して聞かせ、次にやったらお家の人に電話する旨を約束しました。
大きな体の男性は、まるで子供のように肩をまるくして私の話を聞いていました。
よく子供は親や学校から教わるだけでは不十分で、社会に出てから学ぶことの方が多いと言われますよね。私たちも勇気を持って、他人のお子さんに注意しなければならないのではないかと思います。たとえ相手が、知的な障害を持っていても。
でも実際はバイトの高校生を注意すると、親からクレームがつくことが多いのです(笑)。
投稿者: ムササビ | 2008年11月11日 12:37
日時: 2008年11月11日 12:37