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~秋葉原事件に関する考察~

笠井です。

新潟青陵大学の碓井教授の講演で聴いたお話の第2弾です。

秋葉原で起きた無差別殺傷事件は記憶に新しい。
犯人は、中学までは優等生で、高校は青森県内一のエリート校に進学する。

犯人は、教育熱心な家庭で育てられた。
宿題をやる時は、母親が横に張り付いてだめ出しをする。
作文などは、母親が気に入る書き出しをしないと、そこから先に進めない。
しまいには作文全文を母親が書き上げる始末だったそうだ。

テレビは見させてもらえない。
見ることを許されていたのは「ドラえもん」と「日本昔話」だけ。
ファーストフードに至っては、そういうものの存在すら知らなかったと言う。

確かに普通じゃない。
この母親を異常という人もいるだろう。
しかし、母親が悪かったのか!?
母親のせいで犯罪が起きてしまったのか!?
いや、そうではあるまい。
なぜなら、この母親には大きな「愛」があったからだ。

勉強をする子どもの横にぴったり張り付いて、手取り足取り…いくら教育熱心といっても、そこまでのことができる母親が世の中にどれほどいるだろうか
よほどの愛情がなければ、そんな真似はできはしないだろう。

愛情は確かにあった。
しかし、その愛情が伝わらなかったのか!?

愛はあったが届かなかった。
何かの理由で愛が空回りを始める。
結果として子どもから見れば愛情不足状態になってしまう。
そして、
「こんな僕なんか死んだ方がいいんだ」と思うようになっていったのではないか。

犯人は、親からも見捨てられていると感じていた。職場でも、居場所が見つけられない。
自分という人間は最低最悪な人間。まるでロボットのような労働力に過ぎない。
友達もいない。顔も不細工だから彼女もいない。
「自分は世界一の負け組。勝ち組を一人残らず殺したら、最後に残るのは自分だ。」
そんな屈折した考えに…そして、最後に辿り着いたのがインターネットの世界だった。

しかし、インターネット上でも一人だった。
あまりにも捻くれていたので、周りが相手にしてくれなくなったということらしい。
秋葉原の事件当日、朝から一挙一動を書き込んだが、誰も相手にしなかったという。
捕まってから「ホントは誰かから止めて欲しかったが、誰も止めてくれなかった。」
インターネットの世界の人達に自分の存在感を示したかった。…だから秋葉原だったという訳か!?(たったのそれだけで7人を殺したのか)

しかし、驚くことに、彼の気持ちが分かるという人が沢山いる。
それほどに、「自分はダメな人間はないか!?」」と思っている人がたくさんいるということだ。

国際比較によると、日本の若者は、「非常に自信がない」というのが特徴なのだそうだ。
見捨てられるのではないか!?という不安を漠然と抱いている若者が大量に増えている。
「荒れる成人式」がその典型だ。
横暴なことは、自信のなさの裏返し。
自信のない人間は、情報だけを取り入れて、偉そうな態度を取る。横暴な振る舞い。
知識は沢山持っているけど、実体験が伴わないので自信がない。
能力への不安、将来に対する不安。

現代の若者達は下積みが苦手。
下積みができる人は、心の奥底に強い信念がある。
「いつかは…になってやる」というような」強い信念がないと下積みができないのだ。

とんでもない犯罪を犯してしまう人の発想は「0」か「100」の発想。
自分は良い会社に入れなかった→もうダメだ。おしまいだ。孤独と絶望感。

プロの犯罪者は、まぁまぁのところで稼ぎ、まぁまぁ暮らしていく。
決してひどい凶悪犯罪は犯さない。
ところが、孤独と絶望感を感じている人は違う。
最後の最後に、今まで俺のことを馬鹿にしてきた連中に一泡吹かせてやる。
そんなふうに考えるのである。

「もう自分の人生はこれでおしまい」…それでいいと考えている。
大量殺人者は、もともと生きる願望を持っていないから、犯罪の直後に自殺する人がほとんど。
捕まったとしても、「いいんだ、早く死刑にしてくれ」と言うことが多い。

JR荒川沖の犯人の青年が、秋葉原の事件を知って、こう言ったそうだ。
「秋葉原の犯人がうらやましい。ホントは、俺ももっと大きな事件を起こしたかったんだ。」と。
普通の感覚では分からない、孤独と絶望感に押し潰されているのだ。

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2008年10月30日 16:31に投稿されたエントリーのページです。

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