皆さんは町を歩いている時、どこかの知らない家のお葬式に出くわしたらどうしますか?
実は、先日、我が家の前の家のお母さんがお亡くなりになりました。
家の前に停車していた葬儀の車が出発する際、その家の前に集まっていたご近所の人たちが手を合わせてそれを見送っていたのです。
我が家の前は国道で、片側二車線の幅のある結構太い道路なのですが、その太い道路をはさんだ向こう側のその様子を、私は神妙な面持ちで見ておりました。
ふと横を見ると、ダウン症の男の子(つい「子」と言っちゃってますが、ホントは「子」と言われるような年齢ではないと思いますが)が歩いてきています。
なぜダウン症と分かるかと言えば、私の娘もダウン症だからでして、ダウン症独特な顔つきで一目でそれと分かるのです。
彼はおそらく、少し先にある福祉施設に通っているのではないかと思っています。
名前も知らない彼ですが、いつもニコニコ笑顔で歩いているので、「こんにちは」と声を掛けると、彼のほうも「こんにちは」と元気よく挨拶を返してくれます。
私は、また今日も声を掛けてみようと、立ち止まって彼のほうを見ていました。
すると彼は向かい側の他とは少し違う様子に気が付いたのでしょう。
しきりにそちらのほうに目をやりながら近付いてきます。
もう少しで私の家の前にさしかかりそうになった辺りで、彼は何と立ち止まり、向かいの家のほうに向かって目をつぶり合掌しているではありませんか。
目を閉じて、合掌の姿勢でじーっとしています。
あー、なんて、心のきれいな子なんだろう。
あー、ダウン症の子って、なんて優しい心の持ち主なんだろう。
そう思ったら、なんだかとっても嬉しくなって、感動してしまって、、、心があたたかくなりました。
ありがとう。
君がそんなふうに優しく生きてくれているだけで、周りの知らない大人たちにも、いろんな気づきを与えてくれているんだよ。
障がいの娘の将来のことを思っては、いつも不安を感じていた私の心に、言葉に言えないおだやかな感情がジーンとしみわたりました。
ありがとう。