大人になってからも発症する「食物アレルギー」なりやすい食べ物と適切な対処法
現代人は、さまざまなアレルギーをもっています。人間には、体内に取り込まれた物質を自分の身体が受け入れるかどうかを常にチェックし、身体によくないと判断したものを排除する免疫システムがあるからです。アレルギーは、こうした免疫システムが過剰に働いてしまっている状態です。代表的なものとしては、現在多くの人が苦しんでいる「花粉」がありますが、近年は、「食べ物」によって重篤な症状を起こすこともある、食物アレルギーをもつ人も増えてきました。あの時の反応・・、もしかして?と思ったら、一度検査をしてみましょう。ここでは大人になってから発症する可能性もある、食物アレルギーの種類と具体的な症状、予防法についてご紹介します。
◆大人になってからでも発症する?
ある食べ物を摂取すると、じんましんや下痢・嘔吐、せき、呼吸困難、くしゃみといった症状が出るとき、それは食物アレルギーの可能性があります。もしこれらを発症したのでは?と思ったら、病院できちんとアレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)を調べ、そのうえで予防と治療をすることが必要になります。
アレルギーは異物から身体を守ろうとする免疫反応の一種で、食物アレルギーは『食物を摂取した時に、免疫機序を介して不利益な症状がでる場合』と定義されています。
食物アレルギーは、通常、食べ物の消化吸収がまだ未熟な乳幼児に多くみられますが、成長とともに消化機能は発達し、たんぱく質等を細かい分子に分解できるようになり、症状も出にくくなっていきます。
しかし、大人になってから花粉症(アレルギー性鼻炎)を発症する例があるように、大人になってから食物アレルギーが出現することもあるのです。
◆発症しやすい食べ物とは?
乳幼児の3大アレルゲンは鶏卵、牛乳、大豆ですが、成人では甲殻類、小麦、果物、魚類が多いと報告されています。また発症数や重篤度から判断して、アレルギー表示が義務化されている食べ物があります。
●必ず表示
卵、乳、小麦、落花生、えび、そば、かにの7品目
●表示が勧められている
いくら、キウイフルーツ、くるみ、 大豆、バナナ、やまいも、カ シューナッツ、もも、ごま、さば、 さけ、いか、鶏肉、りんご、まつ たけ、あわび、オレンジ、牛肉、 ゼラチン、豚肉の20品目
(平成26年3月改訂版 消費者庁)
必ずこれらの食べ物が含まれている、と容易に判断できる食品の場合は、アレルギー表示を省略することもできます(代替表記)。また、製造工程上、どうしてもこれらの物質が入ってしまう可能性がある場合は、注意喚起表記が推奨されています(コンタミネーション)。
◆食物アレルギーの症状と対処法・予防法
じんましんなどの皮膚症状であれば、アレルギーだとすぐに気づくこともできますが、咳や腹痛などの症状で始まることもあるため、分かりにくい場合があります。いずれにしても、命に関わるような重篤な症状に陥った場合には、すぐに医療機関へ向かい、適切な処置を受けることが大切です。
<おもなアレルギー症状>
重篤な症状:呼吸困難、冷や汗、顔面そう白、血圧低下、意識不明
皮膚に出る症状:じんましん、かゆみ、唇の腫れ
呼吸器系の症状:のどや口内の違和感、くしゃみ、鼻水、咳
消化器系の症状:腹痛、嘔吐、下痢など
<対処法>
重篤な症状(アナフィラキシー症状)が起きたときは迷わず救急車を呼んで、速やかに医療機関へ向かい、医師の診断を受けましょう。
アレルゲンが特定されたら、症状に合わせて緊急時用の薬を(抗ヒスタミン薬、ステロイド内服薬、気管支拡張薬、エピペン注射*)を処方してもらい、いつも持参するようにしましょう。日々の食生活では、自分が食べられる、具体的な代替え食品や調理方法を管理栄養士などに相談してみましょう。
*エピペン注射は、気道が閉塞してしまい、呼吸困難などに陥るアナフィラキシー症状があらわれたときに有効な、アドレナリンの薬液と注射針が内蔵された注射薬です。先端を太ももの前外側に強く押し付けるだけで、バネの力により針が出て、一定量の薬液が筋肉内に注射される仕組みになっています。あくまで一時的に症状を緩和し、ショックを防ぐためのものなので、直ちに医師の診察を受ける必要があります。
<予防法>
●アレルギー症状を抑える成分を含む食品をとる
○乳酸菌類
免疫細胞の一種を活性化させ、免疫システムを正常化する働きがあるとされています
○DHA・EPA
n-3系多価不飽和脂肪酸のDHAやEPAはアレルギー症状を強める脂肪酸の効果を打ち消す効果が期待されます
○抗酸化ビタミン(β‐カロテン、ビタミンC、E)
アレルギー症状を強める活性酸素に対抗する効果が期待されます
●栄養バランスのよい食事で体力と免疫力をアップ
体力や免疫力が低下していると、消化器系が弱ってしまい、消化酵素が十分でなくなるため、アレルギーが出やすくなることも考えられます。
偏った食生活をやめて、普段から充分な休養をとり、栄養バランスのよい食事をとるようにしましょう。
■執筆者プロフィール:田口絢子(たぐち・あやこ)
茨城県生まれ。管理栄養士、糖尿病療養指導士、ソーシャルスキル協会認定健康栄養カウンセラー。都内4か所の病院で給食・栄養管理経験を経て独立。栄養相談、献立作成、食と健康に関する記事の執筆、栄養学翻訳などを行っています。
http://news.goo.ne.jp/article/mocosuku/life/mocosuku-20150409110603201.html