新潟市は洪水被害を軽減するため、水田の排水量を調整する通称「田んぼダム」を江南区天野地区に平成26年度から約50ヘクタールを対象に整備を始める。近年多発する集中豪雨で、農作物や市街地の被害が見受けられるなか、低価格で簡単に整備できるのが強みだ。
田んぼダムは、水田が持つ水をためる能力を利用し、豪雨時に雨水をゆっくり排水することで排水路の急激な水位上昇を抑える。
排水の調整装置として、小さな穴の開いた板を付けた「ます」を約250カ所に設置する。ますの材料費200万円を平成26年度予算案に計上する予定だ。また、新潟大と連携し、3月には浸水被害面積の軽減割合のシミュレーション結果を出す予定だ。
シミュレーションを行っている新潟大農学部の吉川夏樹准教授は田んぼダムの利点として(1)広大な水田で効果を発揮(2)ダムの整備代が安価(3)ゲリラ豪雨が増える中で速効性が高い-などを挙げている。
天野地区を選んだ理由について、市農村整備課は集中豪雨で農作物や排水路下流の住宅地への浸水被害が発生しているうえ、水田と住宅地が隣接しているため、ダム効果が表れやすいという。同課は「設置後、豪雨などで得たデータを検証し、ほかの地域にも田んぼダムを重点的に広げたい」と話している。
県農村環境課によると、県内の田んぼダムは25年末時点で11市1村で取り組まれ、総面積は1万ヘクタールを超えた。最初に取り組んだのは14年の神林村(現村上市)。新潟市では16年の西区黒鳥が第1号で、転作田で栽培されている枝豆への被害を減らすためだった。同市は21年度から、ますなどの調整装置の購入費用を助成している。南区白根で整備した2500ヘクタール分は、23年の新潟・福島豪雨で浸水被害面積が約3割、被害額は推定約12億円軽減された。
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