土砂災害の状況などを伝える行政の気象・警戒情報に、市民が発するインターネット上の“つぶやき”を組み合わせ、スマートフォン(スマホ、高機能携帯電話)に表示-。国土交通省国土技術政策総合研究所(国総研)は、スマホに土砂災害対策情報を通知する国内初システムの有効性を確かめようと、長岡市役所で実験を行った。災害経験を持つ市職員の意見を反映させるのが狙いだ。
実験で想定したのは、平成23年7月の新潟・福島豪雨。県内では、同28日午前7時20分に気象庁と県から土砂災害警戒情報が発表され、30日に土砂災害が集中して発生。長岡市内各地にも土砂崩れや浸水による被害をもたらした。
実験には市職員ら約30人が参加。スマホの災害情報通知アプリを起動すると、豪雨災害当時の各地の雨量や災害発生の恐れがある場所、避難所などが地図上の色や目印で表示された。
短文投稿サイト「ツイッター」には、「五泉市橋田で土砂崩れ」「10時くらいからすごい雨、上越」など当時の文言が再生。読んだ後に「危険」と感じたら投票しつぶやきを危険度順に表示したり、つぶやきを分析し土砂災害の発生場所・時間を推定する試みも行われた。
国総研は、普及が進むスマホで市民が行政情報とつぶやきを共有し自立的な避難意識が高まると期待している。
参加者からは「つぶやきに混じるデマ情報が気になる」(長岡市土木部)「つぶやきの全てに現場写真を付けると信頼度が増す」(同市危機管理防災本部)などの課題や改善点が指摘された。同市の金子淳一原子力・防災統括監は「スマホなら防災情報に対する市民の警戒心が高まりやすい」と評価。「土砂災害の兆候や発生は推測が難しく情報収集の決め手がないだけに、新技術による災害対策の多様化は課題」と話した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140130-00000000-san-l15