2012年に行われた衆議院議員選挙の自民党の政権公約には「土曜授業の実現」が明示されている。下村博文文部科学相も学校週5日制の見直しを言明しており、その検討が進められようとしているが、子どもたちを学校に通わせている保護者たちは、そのことをどう思っているのだろうか。ベネッセ教育研究開発センター主任研究員の木村治生氏に詳しく伺った。
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ベネッセ教育研究開発センターが朝日新聞社と共同で行った調査によると、7割を超える保護者が「完全学校週6日制」(土曜日の完全復活)か「隔週学校週5日制」(隔週での土曜日復活)のいずれかを選んでいます。毎週か隔週かの違いはあれ、土曜授業を望む保護者が多いことがわかります。今まで通りの「完全学校週5日制」(週休2日)を支持する保護者は、わずか17.9%でした。
【図】学校週5日制に対する意見
公立学校の完全学校週5日制を、完全学校週6日制に戻したほうがよいという意見があります。これについて、あなたはどう思いますか。
※すべての土曜日を休みにするのがいい(完全学校週5日制)「月に2回くらい、土曜日に学校があるのがいい(隔週学校週5日制)「すべての土曜日に学校があるのがいい(完全学校週6日制)」とたずねている。
出典:ベネッセ教育研究開発センター・朝日新聞社共同調査「学校教育に対する保護者の意識調査」
データを詳細に分析すると、次のようなことがわかりました。
まず、土曜授業を望むのは、経済的なゆとりが「ない」と答えている保護者に多いなど、家庭の状況による違いが反映しているという点です。土曜日を有効に活用することが難しい家庭があり、そうした保護者は土曜授業を歓迎する傾向があります。
とはいえ、保護者は学校が子どもを預かってくれると楽だからといった都合で土曜授業を支持しているわけではない様子もうかがえます。母親の職業別にデータを見ても、「専業主婦」「パートやフリー」「フルタイム」の間に数値の違いはありません。また、学年別に見ても、意見の差はほとんどありません。母親が働いているから、もしくは子どもが小さいから子どもの面倒を見てほしいといった理由で土曜授業を考える要素は、それほど大きくないようです。
また、「完全学校週6日制」を支持する保護者は23.4%で、毎週の土曜授業を望んでいる保護者も少数です。社会的に週休2日が定着するなかで、子どもだけ土曜日に登校することへの抵抗や、土曜日を体験的な活動に使うことの利点も感じているのでしょう。結果として、もっとも支持を集めたのは「隔週学校週5日制」でした。子どもとともに自由に使える土曜日の必要性を感じつつも、もう少し勉強してほしい。そんなところが、保護者の本音でしょうか。一定程度の土曜授業を望むが、大きな変更は避けるという合理的でバランスの良い選択をしている印象を受けます
http://news.goo.ne.jp/article/benesse/life/education/benesse-7793.html