値上がり続々 PC,大手夏モデル「1万円アップ」 円安打撃、苦渋の選択
円安で部品・材料の輸入コストが増加していることを受けて、NECや東芝、富士通など大手パソコンメーカーが製品の値上げに動き出した。急激な円安進行で各社は採算が悪化しており、夏モデルの新商品から値上げや機種の絞り込みを実施する。スマートフォン(高機能携帯電話)やタブレット端末の台頭に押されて需要が伸び悩む中、値上げは一段の販売低迷につながる恐れもある。
国内トップのNECパーソナルコンピュータは、16日に発売した夏モデルの個人向けパソコンの想定価格を昨年の秋冬モデルより5千~1万円程度引き上げた。実際の店頭価格は量販店が決めるが、想定価格の反映を要請する。
国内パソコンメーカーは、生産拠点を海外に移転、生産が国内に残る一部機種も部材の多くを輸入。昨年末から進んだ円安で「ドル建てで買う部材の調達費が急激に増加している」(NEC)という。
平成24年度に営業黒字を確保した東芝のパソコン事業も今年1~3月期に限ると、赤字に陥った。採算を改善し黒字を維持するには本体の輸入コストや部材の調達費用の上昇分を価格に転嫁せざるを得ない状況で、久保誠専務は「国内のパソコンは円安の分だけ値上げしたい」とする。
事情は他社も同様で、富士通も量販店などへの納入価格を引き上げ、収益の改善を目指すほか、ソニーは新商品を利幅の大きな機種に絞り込む構えだ。
ノートパソコンは、割安なタブレットなど新型端末の登場で苦戦している。調査会社のBCNによると、今年の販売台数は3月まで3カ月連続の前年割れで、3月は前年同月比21・5%減と落ち込んだ。消費者の“パソコン離れ”と円安の二重苦に、メーカーは苦しい対応を迫られている。
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