柏崎刈羽原発が重大事故を起こした場合、国が計画的避難の基準としている、外部被ばく線量が年間20ミリシーベルトを超える地域は、原発から100キロ以上の距離に広がる場合があるとの試算結果を、大気の拡散予測などを手がける民間研究機関「環境総合研究所」(東京都品川区)が公表した。【高木昭午】
市民団体の「脱原発新潟弁護団」などが10日に柏崎市で集会を開催。研究所はその席上で結果を示した。
試算では同原発の7基ある原子炉が、福島第1原発事故と同じ割合で、内蔵する放射性物質を放出したと仮定。放射性物質が地表に沈着する量を、地形や風雨の条件から推定した。年間の積算線量は国と同様、住民が1日16時間を屋内、8時間を屋外で過ごすとして計算した。
その結果、事故時に西風で風速2メートルだった場合=図、事故後最初の1年間の積算線量が20ミリシーベルトを超える地域は、東の県境を超え福島県柳津町付近に達した。さらに年100ミリシーベルトを超える地域は地元の柏崎市、刈羽村のほか、30キロ以上離れた長岡市内にも広がった。
また北東の風、風速2メートルだと、原発から約7キロの柏崎市役所で、年間の積算線量は約1000ミリシーベルトとなった。
試算に使ったコンピューターソフトは、同研究所が開発した。各地の原発について、放射性物質量や気象条件をさまざまに変え、同様の計算ができる。弁護団はこのソフトを、研究所から10万円で購入した。今後、試算結果を柏崎刈羽原発の運転差し止め訴訟で活用するほか、弁護団の学習会などで示すという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130318-00000107-mailo-l15