立命館大の研究者らで作る「立命館アスベスト研究プロジェクト」は8日、平成7年1月に発生した阪神大震災の復旧作業に従事した建設労働者128人を対象にしたアンケートで、約20人に1人の割合でアスベスト(石綿)特有の疾患や病変が見受けられたと発表した。防塵マスクの着用などの対策が不十分だった実態も明らかにし、調査を担当した南慎二郎研究員は「東日本大震災の被災地でも同様のことが想定される。十分な対策が必要」と警告している。
調査は阪神大震災時に倒壊建物の解体やがれきの運搬収集などの復旧業務に携わった労働者を対象に実施。回答者の主な作業地域は神戸市内が80%近くを占め、約75%が石綿に直接接する機会があった。
その結果、128人のうち、約5%に当たる6人がこれまでに石綿肺や胸膜プラークなどの石綿特有の呼吸器疾患や病変があったと回答。全員が1カ月以上復旧作業に従事しており、作業時に防塵マスクを使用していたのは1人、ガーゼマスクやタオルで対策を取っていたのは4人、残り1人は全く対策を取っていなかった。
また、防塵マスクの使用率は全体でも約18%にとどまり、「危険性は分かっていたが、対策を取る余裕がなかった」などの意見も寄せられたという。
調査結果は、12日に神戸市内で開催されるシンポジウム「震災とアスベスト-1・17から3・11へ」で発表される。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/medical/snk20130108576.html