国民生活センターおよび全国の消費生活センター等には、アダルトサイトに誤って接続して料金等を請求されている、アダルトサイトの料金を支払うようメールが来たといった相談が、毎年一番多く寄せられています。そうした消費者が、消費生活センターに相談しようとしてインターネットで検索した結果、本来は業務としては行うことができないアダルトサイトとのトラブル解決をうたっている一部の行政書士(注1)に救済を依頼し、費用を請求されたという相談が2014年度に急増しました。消費生活センターに似せた名前で相談窓口を運営したり、広告を出しているケースもあります。
そこで、同様の相談事例を紹介し、消費者トラブルに遭わないための注意点等について消費者に情報提供し、行政書士の団体に業務の適正化を図ること等を要望しました。
- (注1)行政書士法に基づき、主に官公署に提出する書面や契約等にかかる書面等の作成を行う資格。
PIO-NET(注2)における相談件数等
アダルトサイトに関連して寄せられる行政書士の相談(注3)は、2014年度に516件と2013年度の15件と比較して大幅に増加しています(図1)。
図1 アダルトサイトに関連する行政書士の相談件数
2009年度の相談件数は8件、2010年度は14件、2011年度は5件、2012年度は16件、2013年度は15件、2014年度は516件です。
- (注2)PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースのこと。本資料の相談件数は、2015年5月1日までに登録されたデータで、不明等を除いて集計。
- (注3)行政書士に関する相談のうちアダルト情報サイトやワンクリック請求の解約や解決等についての相談。
相談事例
- 【事例1】
- 消費生活センターで検索して上位に表示された行政書士に救済を依頼してしまった
- 【事例2】
- アダルトサイトの登録を削除するという行政書士に4万円払ってしまった
- 【事例3】
- アダルトサイト被害を救済するという行政書士に個人情報を送ってしまった
相談事例からみるトラブルの特徴
- 行政書士が「返金請求」や「解約交渉」等を行うことは、弁護士法に違反している可能性が高く、行政書士に解約交渉等を行うことは認められていません。しかしホームページに「スピード解決」、「お金は取り戻せる」といった記載があるため、消費者が自分のトラブルを解決できると、誤認しています。「個人情報を削除できる」、「請求をとめる」等の説明を受けているケースもみられます。
- インターネットには、検索した言葉に応じて表示される「リスティング広告」という広告サービスがあります。インターネット検索で表示される検索結果と広告欄の違いに気づかず広告を閲覧してしまい、公的な消費生活センターに相談するはずが、行政書士に相談し解決費用等を請求され、事例によっては支払ってしまっています。
消費者へのアドバイス
- まず、アダルトサイト業者に決して連絡をせず、請求されても支払わないでください。そして、相談するために自分が見つけた窓口が、消費生活センターなのか行政書士なのかをきちんと確認し、解約や解決をうたう行政書士とは契約しないようにしましょう。
- インターネットで検索する際には、検索結果とインターネット広告が両方表示されることについて認識しましょう。「消費生活センター」を検索する際には、本当に消費生活センターか確認し、最寄りの消費生活センターの連絡先を携帯電話やスマートフォンに登録するなどして控えておきましょう。
- 公的な相談窓口である、自治体が設置している消費生活センター等では、相談に際して電話料金等以外の費用が発生することはありません。「解決に必要」、「個人情報を消す」などと言われ、費用を請求されたら、それは公的な消費生活センターではありません。
要望
本件について日本行政書士会連合会に情報提供するとともに、次の点を要望しました。
- 消費者に対し消費者被害の解決などを誤認させる行為をしないなど、業務の適正化を図ること。
- 行政書士としての業務内容を一層周知し、書面作成とその効果について、契約前に消費者に対し説明すること。
情報提供先
- 消費者庁 消費者政策課
- 内閣府 消費者委員会事務局
- 総務省 自治行政局 行政課
- 経済産業省 商務情報政策局 文化情報関連産業課
- 一般社団法人インターネット広告推進協議会
- 日本弁護士連合会
本件連絡先 相談情報部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20150514_1.html