地方の高齢者を標的に東京在住の息子などを装って電話で金を無心し、航空機で羽田空港(東京都大田区)まで呼び出して現金をだまし取る新手のオレオレ詐欺が今年に入って相次いでいる。詐欺グループにせかされて慌てて航空機に乗り、大金を手渡してしまう高齢者が目立つといい、警視庁は注意を呼びかけている。【福島祥】
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2月12日夕。羽田空港のロビーで、70代の女性が落ち着かない様子で周囲をキョロキョロ見回していた。航空会社の女性社員が声を掛けると、女性は「息子にお金を渡すため、熊本から上京した」と説明した。
警視庁によると、この日、女性宅に息子を名乗る男から「同僚と会社の2000万円を使い込んだ。明日、監査があるので金を用意しないといけない」と電話があり、夫と急きょ航空機に乗ってきたという。羽田空港に到着すると、男は携帯電話で「東京モノレールの新整備場駅(大田区)まで来てほしい」と指示した。
その場にいた航空会社の女性社員が電話を代わると、男は待ち合わせ場所を京急蒲田駅(同区)に変更。不審に思った女性社員が空港内の交番に連れて行った結果、本物の息子と連絡が取れ、だまされていたことが発覚した。
警視庁によると、高齢者を航空機で羽田空港に上京させる手口は今年1月28日以降で未遂を含め、計13件確認された。北海道と、福岡、長崎、熊本、大分、宮崎の九州5県から70~80代の男女が呼び出されて上京し、総額約2510万円の被害が出ているという。
捜査幹部は「詐欺グループが電話を受けた高齢者をすぐ空港に行かせるのは、だまされたと気付く時間や心理的余裕を与えないためだろう。詐欺グループにとっては東京にいながらにして現金をだまし取れるメリットもある」と指摘。「高齢者の方は、航空機に乗り込む前に自分から息子に電話し、だまされていないか確認してほしい」と呼びかけている。
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