昨年、過去最悪の年間被害額を記録した「特殊詐欺」に関する情報を警察庁が4月から「匿名通報ダイヤル」で受け付ける。情報が捜査に役立てば、5千~10万円の情報料を支払う。「ダイヤル」ではこれまで組織犯罪などに関する情報を募っていたが拡充する。
詐欺組織はピラミッド型で、被害者宅に現金を取りに行くような末端は「使い捨て」のため、肝心な情報を与えていない。役割もだましの電話をかける「かけ子」、現金を受け取ったり引き出したりする「受け子」「出し子」などと細分化しているため、警察が末端を摘発しても全容解明につなげにくかった。
警察が昨年1年間に逮捕・書類送検したのは過去最多の1990人だったが、主犯は74人(3・7%)どまり。特殊詐欺の被害額は前年比14・3%増の約559億4千万円に上った。警察庁は摘発が不十分とみており、担当者は「匿名通報で主犯の名前や拠点の住所などの核心情報を得たい」と話す。
ダイヤルはこれまで、子どもや女性が被害に遭う犯罪▽暴力団犯罪▽地下銀行など犯罪インフラを構築する犯罪▽薬物・拳銃犯罪――の情報をフリーダイヤル(0120・924・839)とウェブサイト(http://www.tokumei24.jp)で受け付けてきた。昨年度は、開設当初の2007年度の約30倍の8825件の通報があり、56件で事件の摘発や子ども・女性の保護につながった。(八木拓郎)
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