寒さが厳しいこの季節。冬場は50歳以上の女性を中心に冷えによる筋肉の硬直から体のバランスを崩し、転倒、骨折に至るケースがとても多いという。日本整形外科学会骨粗鬆症委員会の調査(平成23年度)によると、転倒の原因となることが多い大腿(だいたい)骨近位部骨折の患者数は4~9月に比べて、10~3月には約2割増加する結果も出ている。
予防医療の専門外来を行っている「健康院クリニック」(東京都中央区)の副院長で、予防医療研究所の所長も務める細井孝之氏は、冬に骨折が増える理由を「寒い時期は外出を控え、室内で過ごすことが多くなる。そのため、紫外線を浴びることで体内で産生されるビタミンDが十分に合成されないうえ、運動不足により骨をつくるための刺激が足りなくなり、骨強度が低下している可能性が考えられる」と指摘する。
さらに寒い時期は骨の構成成分の約80%を占めるカルシウムを豊富に含む冷たい乳製品を取ることを控えがちになることもひとつの原因とし、「冬は骨の健康のために必要な運動と成分の両方が不足しがちなため、骨の強度が黄色信号になる」と警鐘を鳴らす。
冬の骨折を防ぐためにはカルシウムを日々、効果的に摂取することが大切になる。そこで手軽に取れる代表格として挙げられるのがヨーグルト。細井氏は「カルシウムの吸収を促進するビタミンDも重要」と話しており、その両方の摂取を呼びかけている。
実際に両方を豊富に含んだ製品「ダノンデンシア」などを取りそろえる大手スーパーによると、ヨーグルト全体の購入層は、骨に不安を抱える高齢者が多いという。担当者は「冬になるとヨーグルト全体の売り上げは伸びます」と話している。(桜井陽介)
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