障害のある子どもたちを専門に預かる全国初の保育所として「障害児保育園ヘレン」が、東京都杉並区内のビルにオープンした。長時間預かりにも対応し、子どもの育ちと働く親を支える存在となっている。
運営するのは訪問型の病児保育事業などを手がける認定NPO法人「フローレンス」(千代田区)で、昨年9月に開いた。
対象は就学前の子どもで、定員15人。たんの吸引や酸素導入など、生命を維持するための「医療的ケア」を必要とする子を含む重症心身障害児や、肢体不自由の子どもたちが通う。保育士や看護師、作業療法士といった障害児の療育や保育経験のあるスタッフ11人が、最大10.5時間の保育を実施する。一般の保育所同様に遊びを中心に、発達を促す療育も行っている。
地域で医療的ケアが必要な重度心身障害児は増えているが、受け入れ可能な保育所は少ない。就学前の障害児が通う場には児童発達支援事業所があるが、療育目的の施設で、長時間預かりなどの保育的機能には対応していない。このため、仕事を持つ親は子どもの預け先がなく、就労継続が難しいという課題がある。
ヘレンに通う2歳の平井朱灯(あけび)ちゃんは、口から食事を取ることが難しく、胃ろうから栄養や水分を取る。当初は区内の保育所入所を希望したが医療的ケアが必要なため断られた。
母の未香さん(37)は自営業で、ヘレン入園までの間は、ベビーシッターを利用したり、朱灯ちゃんを職場に連れていったりしてきた。「仕事を続ける上でヘレンができて本当に助かる。一方で障害の有無にかかわらず子どもが同じ所で保育を受けられる社会になってほしいと強く願う」と話す。
開設には、杉並区も協力した。施設の初期投資費用のほか、利用者の保育料も助成する。
ヘレン担当者は「医療的なケアの必要な子どもの保育のニーズは高い一方、預かる場は少なく、親は仕事を辞めざるをえない状況がある。ヘレンの取り組みが各地のモデルとなれば」と話す。
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