東京電力福島第1原発事故を受け、当時18歳以下だった子どもを対象に実施している甲状腺検査で、福島県は2日、有識者による「県民健康調査」検討委員会の評価部会を福島市で開いた。委員からは、現行の検査は本来治療の必要がない甲状腺がんを発見、切除する「過剰診断」の可能性が高いとして、検査方法や診療ガイドラインを見直す必要があるとの指摘が出た。
部会は3月末までに、過剰診断の有無や今後の検査方法などに関する提言をまとめる方針。
検査は36万人を対象にした1巡目がほぼ終了。甲状腺がんや、その疑いがあるとされたのは109人で、84人が手術を受け甲状腺がんと確定した。検討委は「放射線の影響は考えにくい」との見解を示している。
会合では渋谷健司東京大教授が、甲状腺がんなどとされた人数が想定より多く、過剰診断の可能性を指摘。治療による負担などの不利益が大きいと強調した。会合を欠席した別の有識者も同様の意見を書面で提出した。
これに対し、検査を実施している福島医大は、症状によっては経過観察にするなど慎重に判断していると説明。西美和広島赤十字・原爆病院前副院長も「発見された甲状腺がんがすべて過剰診断とは思わない」と話した。
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