新潟県は1月30日、危険ドラッグの乱用防止に関する条例に基づき、販売や所持などを禁止する「知事指定薬物」を初めて指定した。2月1日から適用される。
県が知事指定薬物としたのは、覚醒剤と似た構造を持つ3FMPと呼ばれる物質。興奮や幻覚などを引き起こす作用があり、欧州などで流通している。国内では確認されていないが、東京など4都府県が既に条例で指定薬物に定めている。
条例は、県内でも乱用者による事件や事故が相次いでいることを受け、昨年12月に制定された。知事指定薬物は、製造や販売、所持、購入などが禁止される。県の警告や販売中止、回収、廃棄命令に背いた場合は、2年以下の懲役や100万円以下の罰金が科せられる。
県によると、危険ドラッグの密造業者は成分を少しずつ変えて摘発逃れを繰り返している。国が医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づいて定める指定薬物は30日現在、1448物質に上るが、指定が間に合っていないのが現状という。
県の担当者は「国の指定よりも先行して規制をかけることで、乱用防止につなげたい」と話している。
県によると、同様の条例はほかに14都府県が制定している。
◆昨年、健康被害など認知最多
県警が昨年認知した危険ドラッグによる健康被害や交通事故などの件数は49件、乱用者は50人に上り、統計をまとめ始めた2012年以降、いずれも最多となった。県や県医師会などが参加して30日に開かれた薬物乱用防止に関する会議で県警が報告した。
24件28人だった前年と比べてほぼ倍増した。年齢別では、30代が25人と最も多く、20代が14人、40代が7人で続き、未成年も3人いた。購入先は、県内店舗が21人、インターネットが12人だった。
一方で、県内で唯一残っていた新潟市中央区の危険ドラッグ販売店が閉店した10月以降は1件も認知されておらず、店頭で購入できなくなった効果が表れている。
認知件数が増えたことについて、捜査関係者は「規制逃れのために使われるようになった成分が、より危険性を高めており、深刻で認知されるような事案が起きやすくなったのではないか」と指摘した。
(2015年2月1日 読売新聞)
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