ノリやワカメなどの海藻は、ミネラルや食物繊維が豊富です。うま味成分もあり、だしにも使えて重宝しますよね。
健康維持にも不可欠ですが、実はこの海藻、閉経後の女性が毎日たくさん食べると、“甲状腺がんのリスクが高まる可能性がある”という調査結果があるんです。
そこで今回は、国立がん研究センターが行った大規模な調査(多目的コホート研究)の結果を参考に、海藻の食べ過ぎと甲状腺がんの関係についてお伝えします。
■海藻は閉経後の女性の甲状腺がんリスクを高める可能性も
同センターが全国各地に住む40代から60代の女性約5万人に長期間行った大規模な調査では、閉経後に海藻を毎日“もりもり”食べると、甲状腺がんに罹患(りかん)するリスクが高まると分かりました。
だからといって海藻を食べないわけにはいきませんよね。また、欧米人を対象とした調査では、海藻と甲状腺がんに相関性は認められなかったそうです。しかし、日本人を対象とした上述の調査においては、両者の相関が確認されたので、念のため注意が必要かもしれません。
実際、閉経後の女性で週に2日海藻を食べるグループと、ほとんど毎日海藻を食べるグループを平均14.5年間にわたって比較調査したところ、後者の方が3.81倍も多く乳頭がん(甲状腺がんの一種)に罹患したといいます。
その理由は正確には分からないということですが、海藻に多く含まれるヨウ素の過剰摂取と閉経後の女性ホルモンの変化が、何らかの形で甲状腺がんのリスクを高めたとも考えられているようです。
■甲状腺がんとは?
そもそも甲状腺とは、のどを左右にH形、あるいはU字形に覆う器官で、体を成長させるホルモンを出すなど重要な役割を担います。この部位に発生したがんを、甲状腺がんと言うのですね。
閉経“前”の女性に関しては海藻の食べ過ぎが罹患リスクを高める結果にはならなかったようですが、女性ホルモンの濃度が大きく変わる閉経後の女性がほぼ毎日海藻を大量に食べると、この甲状腺がんのリスクが高まる可能性があると分かったのです。
ちなみに、厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要』で、成人に必要なヨウ素の上限量は1日3.0mgとされています。
資料によって数値に前後はありますが、5cm角のコンブには12mg、ワカメ1人前(10g)に約0.2mg、コンブのつくだ煮大さじ1杯(15g)には1.65mgのヨウ素が入っているという試算もあります。
ダイエットで海藻を積極的に取っている人や、サプリメントでヨウ素を取っている人などは過剰摂取の可能性があるので、少し気にした方がいいかもしれませんね。
以上、閉経後の女性が海藻を食べ過ぎると、甲状腺がんのリスクが高まる可能性があるという話をしましたが、いかがでしたか? まだまだ未解明の部分も多いようですが、ちょっと気になる話です。
ただ繰り返しますが、海藻は健康維持に不可欠な食品なので、単純に海藻を避けるというのではなく、上述の摂取量などを参考に適量を楽しんでみてくださいね。
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