栄養サポートチームは、患者のもとに行き、必要な栄養素やエネルギー量を検討し、食べられるものを個別に提供するなど多様な方法を駆使して、患者の栄養状態を改善に導く。
1.栄養サポートチームの役割
栄養サポートチームは、最新の栄養学や代謝学を駆使して、患者さんの栄養状態を評価し、改善に導くことが役割です。専門的な栄養管理により、がんの治療効果を上げ、肺炎などの合併症を予防します。がんだけでなく、すべての患者さんが栄養サポートチームの対象となります。
栄養サポートチームは、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、歯科医、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士などから構成されます。最適な食事を提供するだけでなく、口腔[こうくう]ケアを行ったり、リハビリで筋肉が増えるようにタンパク質の量を増やすなど、患者さんの栄養管理を総合的に考えていきます。
2.がんと栄養
腸の周囲には多くの免疫細胞があります。食べたものが腸に入り、腸が活発に働くことで、免疫の働きが向上します。そのため、栄養サポートチームは点滴で栄養補給することよりも、口から食べることを重視します。
がんの患者さんの場合、がんそのものがエネルギーを消費するうえ、手術、抗がん剤、放射線などの治療でもエネルギーを消費するため、エネルギー消費量は健康な人を1~2割上回ります。また、抗がん剤の副作用などで食欲が低下して栄養不足に陥りがちなので、摂取エネルギー量をきちんと管理して、がんと闘う力をつけることが大切になります。また、がんのできた部位によって摂取すべき栄養素のポイントがあります。例えば、胃がん、食道がんの場合は手術の前後にグルタミン、アルギニン、EPA、DHA、亜鉛などをとることによって術後の感染症を減らすことができると報告されています。このように、栄養で免疫の働きを向上させる方法は免疫栄養療法と呼ばれています。
☆ がん別の栄養素のポイント、栄養サポートチームの探し方などについては、
きょうの健康テキスト 12月号に掲載されています。
NHK「きょうの健康」2014年12月11日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20141211-h-001.html