目的
飲み物などを加熱した場合、急激に沸騰が起こり、中身が飛び散る「突沸」という現象が起こることがあります。
国民生活センターでは2003年9月に「電子レンジを安全に使うために -使い方による危険性を探る-」を公表し、電子レンジを使って液体を沸騰させると突沸することがあると消費者へ情報提供を行いました。
しかし、その後も「突沸」に関する危害・危険情報が継続的に寄せられています。PIO-NETには、「突沸」に関する危害・危険情報が2009年4月以降68件寄せられています。また、医療機関ネットワークには、「突沸」によりやけどを負った情報が2010年12月以降2件(2014年9月末までの伝送分)寄せられています。
事故事例には、電子レンジの使用時に起きた突沸事故以外にガスこんろにも見られるほか、2003年頃には見られなかったIHクッキングヒーターにも見られるようになりました。
そこで、電子レンジに加え、新たにガスこんろやIHクッキングヒーターで食品を加熱した場合の突沸について再現テストを行い、消費者へ情報提供することとしました。
突沸とは
温める食品が液体であれば、「突沸」は起きる可能性があります。しかも、食品を温める調理器具(電子レンジ、ガスこんろ、IHクッキングヒーター等)によらず「突沸」は起きています。しかし、「突沸」は、常に発生する訳ではなく、食品、食器や鍋、調理器具、加熱時間などの条件の組み合わせが重なった場合にだけ起こる現象です。
液体を温めると、温度が沸点(水であれば100℃)に達して泡が出始め、次第にブクブクと激しく出る状態となります。この現象が「沸騰」です。まれに、液体が沸点に達してもブクブクと泡が出ない状態になる場合があります。これを過熱状態(過加熱状態ともいう)といいます。そして、過熱状態の液体に何らかの刺激(振動や調味料を入れるなど)が加わると、突然、爆発するように沸騰し中身が飛び出ます。この現象を「突沸」といいます。
コーヒーや豆乳などの飲み物を急激に温めた場合、気泡発生の核となるもの(器の内側の凹凸、液体内の微細な固形物など)がないと、その液体の沸点を超えても沸騰しない過熱状態になります。そこに振動が加わったり調味料などが加わるなど何らかの刺激によって、突沸が発生します。
また、みそ汁やとろみがある食品は、対流が起きにくく、鍋の中に温度差が生じ、温度の低い部分が、過熱状態の部分の沸騰をおさえている状態になり、突沸が発生することがあります。
飲み物の突沸
みそ汁の突沸
テスト結果
電子レンジにおける突沸
- 電子レンジでコーヒーや豆乳を温めすぎると、突沸することがありました。
- 電子レンジで温めすぎたコーヒーは、庫内で1分冷ますと庫外に取り出したときに突沸しにくくなりました。
ガスこんろやIHクッキングヒーターにおける突沸
- ガスこんろでみそ汁を温め直したところ、突沸することがありました。
- IHクッキングヒーターでみそ汁を温め直したところ、ガスこんろ同様に突沸することがありました。
- みそ汁をかき混ぜながら温め直すと、突沸しないことがわかりました。
消費者へのアドバイス
- 電子レンジで飲み物を温める場合は、温めすぎないようにしましょう。
- 電子レンジで誤って飲み物を温めすぎてしまった場合、突沸を避けるため、加熱が終了しても容器をすぐに取り出さず、扉を開けないで1~2分冷ましましょう。
- ガスこんろやIHクッキングヒーターを使って液体を温め直すときは、火力を弱めにし、かき混ぜながら行いましょう。
業界への要望
突沸に関する情報が消費者に一層伝わるよう、さらなる啓発活動を要望します。
要望先
- 一般社団法人日本電機工業会
- 一般社団法人日本ガス石油機器工業会
情報提供先
- 消費者庁 消費者安全課
- 内閣府 消費者委員会事務局
- 一般社団法人全日本コーヒー協会
- 日本豆乳協会
- 全国味噌工業協同組合連合会
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20141204_1.html