牛肉やマグロなどの赤身肉は、中性脂肪を減らしたい人、糖質制限がある人にとっては、とても頼もしい食材です。しかし、この赤身肉、乳がんの発症リスクを高める可能性がある事はご存知ですか?
今年6月には赤身肉と乳がん発症リスクとの関連性を報告したハーバード公衆衛生大学院のミリヤム・ファービッド博士らの論文がBMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)より発表され、日本でも話題になったことは記憶に新しいところです。
このハーバード公衆衛生大学院による報告では、20~30歳代での赤身肉大量摂取は乳がんの発症リスクを22%高める、という結果が出たとのことです。では、なぜ赤身肉が乳がんに悪影響なのでしょう。
論文によると、 (1)バーベキューなど赤身肉を高い温度で調理することにより、その副産物として炭化水素が発生する、(2)畜産牛の肥育促進に用いられる外因性ホルモンの残留…が悪影響をおよぼしているとのこと。
焼く・燻製にする、乾燥する、加熱する…などの調理・製造過程で多環芳族炭化水素(PAHs)が生成されます。これは赤肉に限らず、魚介類、直火で調理した植物油、穀物などにも当てはまる現象です。国際がん研究機関の報告によると、PAHsの多くは発がん性や遺伝毒性を有しているとのことです。食品に含まれるPAHsは、国際連合食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同食品添加物専門会議(JECFA)により基準値が設定されていますが、日本では、食品衛生法に基づく基準値がまだ設定されていません。
畜産牛の肥育促進に用いられる外因性ホルモンとは、エストラジオールなどのホルモン剤(ステロイド剤)のことを指しています。日本やEUではホルモン剤の使用は禁止されていますが、日本はEUとは違って輸入を禁止しているわけではありませんので、外因性ホルモンの問題を完全に回避できるわけではありません。
このように、乳がん発症リスクを低減するためには、そしてその他食品に関する健康リスクを低減するためには、どんな食品をどんな基準で選び、どう調理して食べるか…という事を真剣に考える必要があります。近年では食品偽装問題など、食と健康に関する事件も頻発していますが、健康を維持する為に、賢い消費者となることを心がける事の重要性が高まっています。
MocosukuWoman編集部
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