最近、子どもの味覚に関する調査が取り上げられ、話題になりました。東京医科歯科大学が2012年に、埼玉県内の小学1年生から中学3年生までの349人を対象に、4つの味覚を認識できるかを調査を行った結果、いずれかの味覚を認識できなかった子どもは全体の約3割。「酸味」は21%、「塩味」は14%、「甘味」は6%、「苦味」は6%の子どもが味を認識できませんでした。
また研究グループは、味覚を感じることができなかった子どもは、加工食品などの味の濃いものや、人工甘味料を使った飲み物などを頻繁に口にしていた、ということを明らかにしました。
濃い味に慣れると、薄味では満足できず、単調な味だと飽きて、ますます濃い味を求めます。濃い味つけは砂糖の使用量が増えたり、ご飯もすすみ、将来肥満から高血圧などの生活習慣病につながる可能性もあります。人工甘味料の中には、血糖値に影響しないタイプがあり、そのために満足感が得られず飲み過ぎれば肥満につながります。市販の加工品は、味が濃いめの傾向がありますので、できれば家庭で薄味を心がけるということを心がけたいものですね。
とはいえ、忙しい現代。女性の活躍を推進する「ウーマノミクス」により、今後ますます共働き世帯は増えると見込まれています。えてして、こういう話題になると、「手作りがよい」とか「加工品は悪い」という話になりがちですが、私は、「良い悪い」よりも「好き嫌い」で選べる子になってほしいと思います。
ただ、仕事と家事の両立、ましてや子育ての時期は、時間的精神的に余裕がなく、「手作りが理想」とはわかっていても難しいものです。
大切なことは、親が「味覚を育てる」という意識を持つことだと思います。お献立の主菜に加工品を利用するなら、できるだけ付け合わせの野菜を添えて味のバランスを整える、濃い味のソースは控えめにするなど。また簡単に作れる副菜のお浸しや、おみそ汁は薄味を心がけ、甘酸塩苦旨味の幅広い味を組み合わせるように「意識」することも大事です。
そして、私の経験からですが、子どもにどんどんお手伝いをしてもらい、一緒に調理しながら繊細なだしの旨味や素材の風味などを確認し合いましょう。誰でも自分が参加して作った料理には愛着がわくもので、ヘタでもおいしく感じます。たまにでも料理をすることが、親子のふれあいの場、食育の場であり、家事をシェアできれば親も楽になります。
ただ「○○が良い悪い」と言うだけよりも、すぐに結果は出ませんが、日々の積み重ねから「家のごはんがやっぱりおいしい」と身体にインプットするほうが、大切なのではないかと思います。
(南 恵子)
All About News Dig編集部
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