学習に対する意欲と才能を生涯にわたり維持するための基礎となるのが、ボキャブラリーの強化ではないでしょうか。ボキャブラリーを強化すれば、理解する力、伝える力、読む力が身につきます。ですから、我が子にはなるべく、新しい言葉を覚えさせる方がいいのです。
あたりまえのようでいて、意外とないがしろにされることが多い、子どものボキャブラリー強化。将来のためにも、ぜひチェックしておいてください。好き嫌いにかかわらず、人生のあらゆる側面において、あなたは子どもの教師なのですから!
大人の言葉で話す
子どもに理解してもらいたいからと言って、「大人の」言葉を使っていけないことはありません。会話のスパイスとして、子どもがわからないかもしれないけれど相手が大人であれば使う言葉を、あえて織り交ぜてもいいのです。その際、わからないことがあったら必ず聞くように促しましょう。質問されたら、必ず言葉を止めて、説明してあげてください。あなたが話す言葉のレベルを下げないことで、子どもは新しい言葉をどんどん覚え、使えるようになるでしょう。
ストーリーを語らせる
夜には本を読み聞かせている親も多いでしょう。それは、読解力とボキャブラリーを育む素晴らしい方法です。でも、時には本を離れて、子どもにストーリーを作らせ、語ってもらいましょう。設定(海賊船など)や主人公にのしかかる問題(幽霊が出る島に座礁したなど)を与えても構いません。それから先は、子どものイマジネーションに委ねます。
新しい言葉や概念を教えるために、ときどきストーリーに関する質問を挟みます。子どもが「その島はとても暑かった」と言ったなら、「熱帯の島だったのかな?」のように。通常の会話に、新しい単語を混ぜるのがポイントです。子どもにアイデアを語らせることで新しい言葉を使う機会を与えると同時に、親が提案することで、さらに助け船を出してやるのです。
定期的に会話する
ストーリーを語らせるのと同じように、子どものボキャブラリーを伸ばすもうひとつの方法は、単純によく話すこと。頻繁に、話しかけるようにしてください。乳幼児などの小さい子には、日常の行動を実況中継してあげるといいでしょう。「さあ、クッキーをオーブンに入れるよ」「仕事に行く準備をするよ」という風に。
子どもは、耳にしたものを吸収していきます。ですから、あなたの話す声を聞くたびに、彼らは学んでいるのです。子どもが大きくなってきたら、話す機会をどんどん与えてあげましょう。話す練習を重ねることで、ボキャブラリーが急成長していくはずです。
家中のものに名札を貼る
ポストイットを使って、家中のものに名札を付けましょう。これは、子どもにたくさんの言葉を教える素敵な方法で、シンプルな言葉を覚えている最中の子どもに最適です。何歳であっても(話し始める前でも)、文字とモノとを関連づけることは可能です。ひとつひとつのモノを確認しながら、その名称を声に出して伝え、(話せる年齢であれば)繰り返して言わせます。電気、時計、ベッド、塩、こしょうなどなど…子どもが触れるものすべてに、かたっぱしからラベルを付けてしまいましょう。
我が子のボキャブラリーに注意を払う
手短に言えば、親は積極的な役割を担う必要があります。子どもの言語スキルを高めたければ、ボキャブラリーに関する質問にはマジメに答えましょう。子どもが単語に対する興味を示したら、その定義と発音を正しく教えるのです。定義はできるだけシンプルにしながら、用例をたくさん提示します。例えば、「”巨大”ってどういう意味?」と聞かれたら、「大きい」と答えるだけではなく、比較を示すといいでしょう。ゾウは、人と比べると「大きい」けど、アリと比べると「巨大」なのだと。
間違いは注意深く正す
新しい単語の発音や使い方は、間違えて当然。そんなとき、しかりつけてはいけません。むしろ、我が子の挑戦を褒め、正しい部分を指摘してあげてください。そのうえで、正確な使い方または発音の仕方を教えてあげましょう。楽しくてポジティブな体験を重ねることで、子どもはボキャブラリーを伸ばすことに興味を持ち、実際に伸ばすことができるようになるのです。
気長に構える
子どもが言葉の概念を正確に覚えるまでに、親は何度も発音と意味を繰り返す必要があります。それは、いたって普通のこと。それに、隣の子が我が子の2倍のボキャブラリーを持っていても、心配しないでください。子育ては競争ではありませんし、子どものボキャブラリーが、親の価値を証明するわけでもないのです。
子どもは自分のペースで育つもの。いちばん大事なことは、彼らのニーズを大切にしながらバランスをとることで、学習が苦行にならないようにすること。我が子の成長を望む気持ちはわかりますが、挑戦に対してネガティブな感情やストレスを植え付けないよう、注意が必要です。
アリゾナ大学で教育心理学を研究するロナルド・マークス教育学部長は、「本に触れさせること、言葉に触れさせること、物事を説明すること、これらすべてが、子どもの言葉の成長と、読書の成功のチャンスをもたらします」と述べています。子どもの成長のためには、時間とエネルギーをかけて教える必要があるのです。我が子の読む力や書く力の成長が見られたとき、親はこれまでしてきたことに喜びを見出すことができるでしょう。
Shawn Greer(原文/訳:堀込泰三)
http://www.lifehacker.jp/2014/10/141021_vocabulary.html