男性にも更年期がある。症状は関節痛、疲れやすい、意欲の喪失、性機能低下など。時期や経過には個人差が大きいので見過ごされがちだが、男性ホルモン補充療法で約6割が改善。
1.男性の更年期障害とは
更年期障害は女性に特有の病気と思われがちですが、男性にも起こります。原因は男性ホルモンの低下です。男性ホルモンの分泌量が低下すると、関節痛や疲れやすさなどの体の症状、いらいら・憂うつ・不眠などの心の症状、勃起力低下などの性機能の症状が、多岐にわたって現れます。女性の更年期障害は閉経を挟んだ約10年間に症状が現れますが、男性の場合は個人差が大きく、症状が現れやすい時期は定まっていません。40歳代以下では男性ホルモンの低下の場合は少なく、多くはうつ病など別の病気が原因です。50~60歳代では、男性ホルモンの低下が原因の場合と、うつ病などの病気が原因の場合と半々で、70歳代以降になると、多くは男性ホルモンの低下が原因となります。
更年期障害かどうかを調べるには、体や心、性機能の症状について尋ねる問診と、血中のテストステロンの値を調べる血液検査が行われます。症状が強くてテストステロンの分泌量が少ない場合、更年期障害と診断されます。気になる症状がある場合は泌尿器科や男性更年期外来などを受診して相談しましょう。
2.治療は男性ホルモンの補充が中心
治療の中心となるのは、男性の更年期障害に深く関わっているテストステロンを補充する男性ホルモン補充療法です。テストステロンは「男性らしい体つきにする」「筋肉や骨の組織を強くする」「性機能を正常に保つ」などの働きがあるほか、判断力や理解力といった認知力に影響を与えています。主な治療法は、テストステロン製剤を2~4週間に一度、筋肉注射する方法で、健康保険が適用されます。男性ホルモンの軟膏[なんこう]を塗る方法もありますが、健康保険は適用されません。男性ホルモン補充療法は、最初は3か月間行い、効果があれば継続します。治療期間は、50~60歳代では1年が目安です。
男性ホルモンがそれほど低下していない場合には、勃起不全(ED)の治療薬や抗うつ薬、抗不安薬など、症状に応じた薬だけを用いる場合もあります。
☆ 自分でできる対策などについては、
きょうの健康テキスト 9月号に詳しく掲載されています。
NHK「きょうの健康」2014年9月23日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140923-h-001.html