脂肪を燃やす働きがある遺伝子が乳児期に活性化される仕組みを、東京医科歯科大の小川佳宏教授(内分泌代謝学)らの研究チームがマウスの実験で突き止めた。母乳に多く含まれる栄養成分である脂質が活性化の引き金になるとみられ、母乳で育った子供は肥満などの生活習慣病になりにくい可能性を示す成果という。米医学誌に論文が掲載された。
研究チームは、脂質を認識するセンサーの役割があり、脂肪を燃焼させる遺伝子を活性化させる機能を持つタンパク質に着目。乳児期のマウスの肝臓で遺伝子の働きを詳しく調べた。
このタンパク質を遺伝子操作で作れないようにしたり、働きを活性化させる薬剤を母乳に入れたりして分析。その結果、このタンパク質がDNAのメチル化という現象を消失させ、脂肪を燃焼させる遺伝子が活性化されることが分かった。
脂質が豊富な母乳で育てると、このタンパク質が機能しやすくなることが知られていたが、遺伝子レベルでのメカニズムは分かっていなかった。母乳に含まれる脂質は乳児の栄養成分として重要なだけでなく、成人になってからの健康にも深く関わっている可能性があるという。
小川教授は「乳児期の栄養を調整し、生活習慣病になるリスクを減らすなど新たな医療の手掛かりになる」と話している。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/medical/snk20141014503.html