テレビ「情熱大陸」「カンブリア宮殿」「ソロモン流」で紹介! 幼稚園児~小学生を「メシが食える魅力的な大人に育てる」ことを主眼とした学習塾「花まる学習会」の「本当に頭がいい子の育て方」を徹底解説! 作文・読書・思考力・野外体験を重視したユニークな教育手法は全国で多くの支持を得ている。
本人の意思で、
やる気になってやったことは、伸びる
「頭がいい子に育てたいですか?」と問われれば、たいていの親は「はい」と答えるでしょう。自分の子どもを「頭が悪い子に育てよう」と思う親はいないと思います。
しかし、実際には、親の言動と家庭環境が、わが子の能力を潰してしまうことがあります。子どもを思う「親心」が空回りして、逆効果になっているのです。
子どもが伸びない理由は、大きく「2つ」あります。
ひとつは、「それをやるための、能力を持っていない」ということ。
たとえば、「国語力(日本語力)」を持ち合わせていない子どもは、「学力の土台」ができていないので、大きく伸びることが、非常に難しいと思います。
もうひとつは、「意欲がない」という理由です。子どもの意欲は、「親の学習観」に大きく影響されます。
したがって、親が一方的に「ああしろ、こうしろ」と押し付けると、子どもは「やらされ感」にさいなまれて、「やる気」をなくしてしまいます。
これは、誰でも同じですが、「人から言われたこと」をやりたがる人は、ほとんどいないのです。「勉強とは、こういうものだ」という親の思いを押し付けることが、「勉強嫌いな子ども」にさせているのです。
私が信頼する脳科学者は、
「本人の意思で、やる気になってやったことは、伸びる」
と断言しています。
つまり、親が無理やり勉強をさせたところで、「子どもがやる気になっていない」としたら、いくら時間をかけても、「伸びない」どころか「逆効果」なのです。
親が陥りがちな、「学習観の勘違い」には、次のようなものがあります。「思い当たること」がある方は、子どもとの接し方を見直していくといいでしょう。
子どもには柔軟性があるので、「次の学年に進級するタイミング」や「子どもの誕生日」などを見計らって、「次からは、こういうふうに勉強を変えていこうね」と提案すれば、案外、「軌道修正しやすい」ものなのです。
【親の学習観の7つの勘違い】
(1)勉強の問題は、速く解けなければいけない
(2)外で遊ばせるより、本を読ませるべき
(3)「できないこと」を「できる」ようにさせるのが先決
(4)「ドリル」は、たくさんやらせたほうがいい
(5)同じ失敗を何度もさせてはいけない
(6)ノートは「きちんと」書かせなければいけない
(7)小学校低学年も、高学年も「子育てのしかた」は同じでいい
では、ひとつずつ、解説していきましょう。
親の学習観の7つの勘違い(その1)
・【勘違い(1)】 勉強の問題は、速く解けなければいけない
計算のスピードばかり追い求めると、「じっくり考える力」が置いていかれてしまいます。
高学年になると、算数も、理科も、社会も、国語も、すべての問題が文章題です。
「じっくりと考えて答えを出す」ことができないと、文章題が苦手になってしまいます。計算力をバカにしてはもちろんいけませんが、大切なのは、思考問題に直面したときに、粘り強く考え続けられることなのです。
・【勘違い(2)】 外で遊ばせるより、本を読ませるべき
「読書」は、もちろん大切です。ですが、「学力の基礎だから」「将来の役に立つから」と説きふせて、無理やり本を読ませようとすると、かえって子どもが本から遠ざかってしまうでしょう。「親が無理やりやらせて、うまくいくこと」は、ほとんどありません。
子どもを本好きにさせたいなら、「絵本を手はじめに本の読み聞かせをする」「親自身が本好きの行動を示す」など、「家庭の文化」の中に「本」というものを取り入れるのがいちばんです。
読書も大事ですが、「本が読める力」と「長文読解力・精読力」はイコールではありません。
子どもに「自分の頭で考える力」をつけさせるには、「遊び」がいちばんです。なかでも「外遊び」には、五感を刺激する体験のほか、子どものやる気や集中力を発揮させるたくさんの要素が盛り込まれているのです。
・【勘違い(3)】 「できないこと」を「できる」ようにさせるのが先決
親は、「テストの結果」で子どもの学力を測ろうとします。ですが、結果で判断しがちな親は、子どもの点数が「85点」でも満足できません。
「85点取れた」ことよりも、「取れなかった15点」が気になり、「あと15点で100点だったのに、どうしてミスをしたの?」と、つい、子どもを責めてしまうのです。
たとえ言葉に出さなくても、「親の表情」を見て、子どもは敏感にそれを感じ取ります。叱られたとき、人間の脳は、やる気をなくします。ですから、親は、まずは「できたこと」を褒めてあげてください。
できなかった問題は、あとで、もう一度やらせてみればいいと思います。そして、子どもができるようになったら「できてよかったね! 頑張ったね!」と、ここでも褒めてあげる。「勉強の終わりは、いつもハッピーに」を心がけましょう。
親の学習観の7つの勘違い(その2)
・【勘違い(4)】 「ドリル」は、たくさんやらせたほうがいい
山ほどの「ドリル」を与える親がいます。すると子どもは、量をこなすだけで精一杯になり、「わからなかった問題をそのままにして、次の問題に取りかかる癖」がついてしまいます。
「ドリル」の量を減らしてもいいので、「そういうことだったのか、わかった!」と納得してから次に進んだほうが、学力が積み重なって身に付いていくのです。
・【勘違い(5)】 同じ失敗を何度もさせてはいけない
「あなたは、何回言ったらわかるの?」
「さっきも言ったでしょ!」
「ほら、また、同じところを間違えている!」
と感情的に叱りつける親は、「子どもというのは、1回言ったくらいでは、わからない」という幼児の本質に気がついていません。
何度も同じ間違いをしてしまうからこそ、「子ども」なのです。
失敗をしても、できなくても、「親の期待にこたえたい」と、心の底から思っている…、だから子どもは、「もう一度やってみよう」とチャレンジしているのです。
それなのに、親から「何度も同じ失敗をして!」と叱られ続けたら、子どもは、しだいにやる気をなくしていってしまいます。
子どもは、何度も失敗するのが当たり前です。だから、一度や二度失敗したからといって、親がカッカしないでください。「今度はできるようになろうね」と、繰り返し言いながら、もっと長い目で、子どものことを見てやることが必要なのです。
・【勘違い(6)】 ノートは「きちんと」書かせなければいけない
「きちんと主義」の親は「きちんとしなさい」が口グセです。「きちんと主義」の親は、「きちんと書く」ことや「きちんと読む」ことにこだわりすぎます。
子どものノートが汚いと、「なに、この字! 全然読めないじゃない!」と注意してしまいます。
きれいな文字を書くことも、たしかに教養のひとつです。けれど、書道の時間など、「きちんと書くべきときに、きちんと書ければいい」のであって、算数の問題を解くときは、「少しくらい汚くても、いや、ずいぶん汚くても、適度な速さで書く」ことを優先すべきです。
そうしないと、限られた時間の中で、「難しい問題」を解くことができません。
「先生の板書を、一字一句、きれいに、丁寧に、きちんと書き写す子ども」と、「多少読みにくくても、大事な要点だけを素早くノートに書く子ども」では、あきらかに後者のほうが伸びしろが大きいのです。
・【勘違い(7)】 小学校低学年も、高学年も「子育てのしかた」は同じでいい
イモ虫がサナギになり、サナギが蝶になるように、人間も、心身ともに子どもから大人に変化します。ですから、親は、子どもの変化に合わせて、接し方を変えていかなければなりません。
小学校低学年と、高学年では、「生態がまったく違う」ことを認識すべきです。
そのことに気がつかず、同じように接しているとしたら、それは、「蝶」に変わった子どもに対し、「葉っぱの上を、きちんと歩きなさい」と注意をしているようなもの。「蝶」には、「美しい飛び方」を教えなければなりません。
子どもは、おおむね「10歳(小学4年生)」くらいを境に、大きく変わります。発達段階なので個人差はもちろんありますが、子どもが変わったら、子育ても変えていかなければならないのです。
http://news.goo.ne.jp/article/diamond/life/diamond-59381.html
http://diamond.jp/articles/-/59381?page=2
http://diamond.jp/articles/-/59381?page=3