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「昇進する女性」5つの共通点

「出世するのはどんな女性か?」――そう問われたら、皆さんはどう答えるだろうか? 「能力の高い女性」「仕事で高い成果を発揮できる女性」…すぐに思い浮かぶのはそんなイメージかもしれない。

「でも、それは昇進できる女性の条件の一部でしかありません。そもそも“高いパフォーマンスを挙げたら昇進できる”というのは誤解。パフォーマンスは昇進の“必要条件”ですが 十分条件“ではありません」

そう語るのは、リクルートワークス研究所の石原直子さんだ。実は同研究所では今年1月、日本と欧州の女性企業幹部を訪ね、現在のポストに至るまでのキャリアや職場環境を取材した。その結果、幹部ポストに就いている女性たちには、5つの共通点が見出せたという。

<幹部ポストに昇進した女性 5つの共通点>
1. 若いうちに多様な業務を経験できるよう自ら手を挙げてきた
2.支援してくれる上司や社内ネットワークが存在した
3.仕事の成果や目指すキャリアを「影響力のある人」にアピールしてきた
4.夫に恵まれていた
5.転勤や職種変更をいとわなかった

以下、それぞれのポイントについて、女性幹部たちの声と、欧州グローバル企業の実態を石原さんに解説していただいた。

●1 若いうちに多様な業務を経験できるよう自ら手を挙げてきた
「たとえば、スイスの機械メーカー・スルザーグループの1社で管理部門長を務めるマルティーナ・ディムラー氏は、20代から30代にかけて8年半で4つのポジションを経験しています。1つのポジションで仕事をこなせるようになったら上司と交渉し、さらにストレッチできる次のポジションを求め続けてきたのです」(石原さん)

これは裏返せば、手を挙げられる環境が組織にあったことの証でもある。欧州グローバル企業には戦略的にそうした制度を設けている企業も少なくない。たとえばダイムラーには、能力の高い新卒者や専門職の中で希望する者を数か月ずつ、異なる国の法人の3つのプロジェクトにアサインして早期育成するプログラムがあるという。グローバルに活躍できるマネジャーの輩出が目的だが、同社では2015年までにプログラムの参加者の40%を女性にする方針だ。また赤十字国際委員会も、1年~1年半サイクルで配置換えを行うことで、女性リーダーを育成しているという。

●2 支援してくれる上司や社内ネットワークが存在した
「ヤフー常勤監査役の鬼塚ひろみ氏は東芝でキャリアをスタートさせましたが、当時はまだ任用面での男女差が厳然と存在した時代。たとえば海外出張ひとつとっても“女性は前例がないからダメ”だったとか。しかし、彼女の上司は“前例がなければ作る”と社内に掛け合い、ひとつずつ“前例”の壁を崩してくれたそうです。その分、求められる成果も男女差なくハードだったものの、そうした支援を受けることで、仕事の幅が広がっていったと語っています」(石原さん)

先に挙げたディムラー氏をはじめ、欧州グローバル企業の女性幹部たちにも、彼女たちの成長を期待してポジションを与え、キャリアを支援してくれる上司が存在したという。さらに女性たちの側も、直属の上司に限らず、キャリアを支援してくれる“有力者”とネットワークを築く努力をしてきたことも見逃せない。

「もうひとつのポイントはトップのコミットメント。支援者としてのサポートを、上司のパーソナリティだけに期待するのは限界があります。女性幹部を育成・登用してきた欧州グローバル企業に共通しているのは、女性リーダーの育成にトップが強くコミットメントし、制度化していること。たとえばダイムラーでは、管理職が女性部下の支援を怠り、女性の昇進人数が目標に到達しなければボーナスに影響します」(石原さん)

●3 仕事の成果や目指すキャリアを「影響力のある人」にアピールしてきた
「これは国を問わず、盲点になりやすいポイント。多くの女性たちは仕事で成果を挙げさえすれば昇進できると誤解しています。しかし、どんな成果も人事権のある人たちに知られなければ昇進には繋がりません。欧州グローバル企業で昇進した女性幹部たちは、口を揃えて“Exposure”(露出)の重要性を強調します。昇進に影響力のある上層部に自らの実績や能力を“見える化”することは極めて重要です」(石原さん)

たとえば、世界有数のマーケットリサーチ会社・イプソスでP&G担当部門のグローバルプレジデントを務めるカトリーヌ・ラフォン氏は、かつて上司から「自分の成果に“ノイズ”を作りなさい」とアドバイスされたエピソードを語ってくれたという。“ノイズ”とはすなわち「自分の成果に(上層部の)注意を喚起しなさい」ということ。彼女は全社員向けのニュースレターで、自分の成功事例を、他の事例に応用できる形にして発表していたそうだ。

●4 夫に恵まれていた
「こう言ってしまうと身もふたもありませんが、女性幹部たちの取材で見えてきた一面の真実です。たとえば、世界最大の菓子メーカーのモンデリーズ・インターナショナルでコーヒー部門のディレクターを務めるポーリーヌ・リンドウォール氏は“夫が起業家で、私の海外転勤の時には一緒についてきてくれることも可能でした。その意味で私はとてもラッキーです”と語っていました」(石原さん)
ここでの夫のサポートとは、家事・育児を分担してくれたり、転勤についてきてくれる、という“物理的”なものだけを指しているのではない。妻が高い能力と、働き続けることやキャリアの構築に対して高い意欲を持っていることを認め、応援し、励ましてくれるという“精神的”な支援も重要だ。出世を目指すなら、まずは自分の夫に、自分のキャリア構想や“野望”を知ってもらい、支援者になってもらうことから始める必要がありそうだ。

●5 転勤や職種変更をいとわなかった
「特にグローバル企業で幹部に昇進するなら、国や地域をまたいで仕事する経験は不可欠。女性にとって海外転勤はもちろん、転居を伴う異動はハードルが高いものの、グローバル企業の女性幹部たちはそれを乗り越えてきていました」(石原さん)

もうひとつ大切なのは、職種変更もいとわず、色んな仕事を経験すること。女性はともすると“スペシャリスト志向”に走りがちだが、行き過ぎるとキャリアの幅を狭めかねないという。

以上、幹部ポストを手に入れた女性たちに共通する5ポイント。女性リーダー育成・登用しようという機運が高まっている今だからこそ、キャリアアップを目指す女性は意識しておくとよいだろう。
(篠塚裕也)
(R25編集部)

※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびweb R25から一部抜粋したものです
※一部のコラムを除き、web R25では図・表・写真付きのコラムを掲載しております

http://news.goo.ne.jp/article/r25/bizskills/r25-20140927-00038126.html

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