腎臓を守るには、食塩制限・適正エネルギー量の食事が基本。中等度・高度の人はたんぱく質制限、時にカリウム制限も必要に。腎臓を悪化させない適正量を、具体例で紹介。
1.特に気をつけたい食事療法
慢性腎臓病の治療では、まず原因となっている病気の治療が必須です。高血圧や糖尿病が原因なら、血圧や血糖値をしっかりとコントロールするなど、生活習慣病を治療することが大切です。このような場合、食事改善や適切な運動を行うことは治療の重要な柱です。特に、食事では、食塩を制限し、適正なエネルギー量をとることが基本となります。
大事なことは、ただ減らすのではなく、適正量をしっかりとることです。1日に摂取する適正エネルギー量は、標準体重(身長m×身長m×22)と、身体活動の量などから算出します。医師や管理栄養士と相談し、自分にとっての適正量を守るようにしましょう。食塩のとり過ぎを防ぐには、「汁物を1日1回にする」「加工食品に含まれる見えない食塩に注意する」などの工夫が大切です。
2.中等度以降に気をつけたいこと
中等度から高度まで進行した場合には、たんぱく質制限や、場合によってはカリウム制限が必要になります。たんぱく質は筋肉や血液の材料となる重要な栄養素ですが、体で利用されたあとは、分解されて尿素窒素という老廃物になります。これは腎臓から尿中に排出されるため、量が多いと腎臓に負担をかけてしまいます。また、腎機能が低下している場合には尿毒症の原因となります。
慢性腎臓病が中等度から高度の場合には、1日にとるたんぱく質の量を標準体重1kg当たり0.6~0.8gにします。例えば身長が175cmの場合、標準体重は1.75×1.75×22で67.4kgとなるので、1日に摂取できるたんぱく質量は67.4×0.8で53.9gとなります。肉類、魚類、卵、大豆製品などたんぱく質を多く含む食品は1食につき1品程度とすると、栄養のバランスを崩さずにたんぱく質を減らすことができます。ただし、たんぱく質を制限するとエネルギー量が減り過ぎてしまうことがあるので、適正エネルギー量をとるよう注意しましょう。
また、腎臓からのカリウムの排出が悪くなり高カリウム血症になってしまった場合には、カリウムの摂取を1日1500mg以下に制限する必要があります。
☆食事改善の具体的な例については、
きょうの健康テキスト 9月号に詳しく掲載されています。
NHK「きょうの健康」2014年9月4日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140904-h-001.html