友達と気軽に連絡を取ったり、全地球測位システム(GPS)機能で位置 確認できたりといった利便性から、スマートフォンの普及が子どもたちに進んでいる。反面、インターネット上での個人情報の思わぬ拡散や、見知らぬ人と情報 交換したために犯罪に巻き込まれるケースも相次ぐ。ネットの裏側に潜む危険から子どもたちを守ろうと、様々な取り組みが行われている。
◆児童ら自らルール作り
上天草市内全ての小中学校18校の児童・生徒の代表を集めた 「子どもサミット」が、同市松島町の松島総合センターで開かれた。行政や教育に関する疑問や提言を、市長や教育長に直接伝える場として隔年で開催。今回は 約40人が参加してスマホやネットの利用に関するルール作りをした。
市教委によると、スマホや携帯電話、ネットに接続可能なパソコンなどを所持している市内の児童・生徒は、小学生で39・2%、中学生では68・8%を占める(昨年12月時点)。
サミットで子どもたちは、班に分かれ、「夜間に利用すると、授 業に集中できない」「生活のリズムが乱れる」などの意見を出し合ったうえで〈1〉スマホの利用は午後8~9時頃まで〈2〉個人情報をインターネット上に掲 載しない〈3〉相手のことを考えて利用する〈4〉面識のない人とやりとりをしない――などを決めた。
大矢野中3年の藤川晃太朗君(15)は「集会などを通じて、他の生徒にルールを広め、トラブルを事前に防げるようにしたい」と話していた。
◆トラブルや依存の怖さ実感
八代市東陽町の東陽中は、小中学生と保護者を対象に、NPO法人「子どもとメディア」(福岡市)事務局長の黒田可奈子さんによる講演会を開いた。
同中の全校生徒と近くの東陽小5、6年生の計約90人、保護者 が参加。黒田さんは、子どもがネット上に公開した文章や写真を元に個人を特定され、見知らぬ大人からストーカー被害を受けた事例を紹介し、「ネットに何か を公開する際は、世界中の誰に見られてもいい情報かどうかを考えて」と呼び掛けた。
ネット上のゲームやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)では、悪意を持った人と接触する恐れがあると指摘。「『友だちになりましょう』とID交換を持ち掛けられても応じないように」と注意を促した。
同中1年の押方佑弥さん(13)は「スマホのトラブルや依存症の怖さを感じた。使う時間を減らしたい」、中2の息子を持つ徳田理佐さん(39)は「自分の知らないところで子どもが世界とつながってしまうことが心配。ネットを使うマナーやルールを話し合いたい」と語った。
◆サイバーボランティアに学生51人
県警は22日、県立大や熊本学園大、熊本大の学生51人をサイバー防犯ボランティアに委嘱した。ネット上で有害情報を見つけた場合に通報するほか、サイバー犯罪に巻き込まれないようにするにはどうしたらいいか、年齢が近い中高校生らにアドバイスする。
同ボランティアは、県警の呼びかけに応じた熊本学園大で2011年11月に始まった。県警の中高校生向けの出張講話で、無料通話アプリの設定方法や正しい使い方を話し好評なことから、今回正式に委嘱した。
県警本部での委嘱式では、佐藤正泉・生活安全部長が「サイバー犯罪を防ぐには、少年に対する啓発活動が喫緊の課題。皆さんの協力が一助になる」とあいさつ。学生を代表して熊本学園大4年塩井勇太郎さんが「サイバー犯罪が減るように一生懸命に活動したい」と決意を述べた。
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