肩の関節に炎症が起きる「五十肩」。中高年に多く、経過に合わせて対処する。急性期には安静、慢性期・回復期には適度な運動を行い肩関節の動きを回復させる。対処法を紹介。
1.五十肩の原因
肩関節を大きく動かすことができるのは、肩甲骨、上腕骨、鎖骨などの骨と、それにつながる筋肉や腱(けん)などが肩関節に連動してスムーズに動くためです。
ところが、加齢などによって筋肉や腱などの柔軟性が失われ、スムーズに動かなくなると、肩関節を覆う関節包や肩甲骨と腱板の間にある滑液包などが傷つき、炎症が起こることがあります。これが五十肩です。
なお、五十肩は正式には肩関節周囲炎といい、広い意味では腱板断裂や石灰性腱炎なども含まれ、それらは対処法が異なります。自己診断せずに医療機関を受診し、診断を受けましょう。
2.五十肩の経過と対応
腱板断裂や石灰性腱炎以外の“いわゆる五十肩”では3つの経過に分けられ、その経過に合わせた対処を行うことで痛みを抑えることができ、早く治ることにもつながります。
急性期
五十肩の発症直後は炎症が強く、激しい痛みが現れます。動きの制限は少なく、動かすことは可能ですが、この時期には、腕や肩にかかる負担を減らし、肩の安静を保つことが最も大切です。寝る姿勢にも気を付け、夜間も肩の安静を保つよう心がけます。
慢性期
炎症が治まってきて、痛みは徐々に軽減します。しかし、関節包や滑液包が縮まって硬くなるため、動きの制限が強くなります。無理のない範囲で適切な運動を行って縮まった関節包などを伸ばし、肩関節が固まるのを防ぐことが大切です。ただし、痛みを起こさないように気をつけてください。肩を温めて血行をよくするのもよいでしょう。
回復期
関節の炎症が治まり、痛みはほとんどなくなります。痛みの出ない範囲で積極的に動かし、関節の動きを取り戻すことが大切です。肩を温めて血行をよくすることも有効です。腕開きやバンザイ・肩回しなどの肩のチェックを行い、左右差がないかどうかを確認するとよいでしょう。
注意
いすは安定しているものを使い、平坦で滑らない場所で行いましょう。
☆五十肩の対処法について詳しくは、
きょうの健康テキスト 6月号に詳しく掲載されています。
NHK「きょうの健康」2014年6月12日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140612-h-001.html