薬の“飲み損”になっていることも…
薬をきちんと飲み、減塩にも気をつけている。なのに、血圧が140/90mmHg以下に下がらない。
「もし3種類以上の薬を飲んでいるのに効果が見られないなら、3つの理由に当てはまらないかをチェックしてもらった方がいい」と言うのは、東京都健康長寿医療センター・桑島巌顧問(高血圧外来)だ。高血圧の状態が続くと、心筋梗塞、脳卒中、心臓肥大など取り返しのつかない事態を招く。
【手術で治る高血圧】
高血圧には「手術で治る高血圧」がある。原発性アルドステロン症だ。
左右の腎臓の上には、帽子のように乗っかっている副腎という3センチほどの臓器があり、体の水分や血圧を調整するアルドステロンというホルモンを分泌している。
「その副腎におできのような良性の腫瘍ができるために、アルドステロンが過剰に出すぎて血管の中のナトリウムが増え、血圧が上昇するのが原発性アルドステロンという病気です。高血圧が治りにくいほか、血液中のカリウムが低くなるのが特徴です」
原発性アルドステロンは、降圧剤では血圧は下がらない。
「手術で腫瘍を切除すると、頑固な高血圧が治ります」
【適切な薬ではない】
桑島医師によれば、高血圧には「パンパン型」と「ギュウギュウ型」がある。
「血中の塩分(ナトリウム)が増えると、それを薄めようとして水分が血管に入り込む。すると心臓は、その過剰な水分を腎臓から尿として押し出そうとして、血管がパンパンに腫れることで血圧が上がります。これが、パンパン型です」
一方、ギュウギュウ型は、血管を締め付ける物質が増えたために、血液が勢いよく血管の中を流れて血圧が上がる。
「いずれも高血圧を招くのですが、適する薬が違います。パンパン型は利尿薬やCa拮抗薬で、血中の水分量を減らす。ギュウギュウ型は締め付けた血管を広げる血管拡張薬が適しています」
パンパン型は60代以降に、ギュウギュウ型は40~50代に比較的多く見られる。最初はギュウギュウ型でも、加齢とともにパンパン型に変わることもある。薬が効きづらくなってきたら、自分の「型」と薬の相性を調べるべきだ。
【ストレスが強い】
「白衣高血圧」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないだろうか。
「白衣の医師の前になると、緊張で血圧が高くなる。ほかに緊張で血圧が上がるものに、職場高血圧というのもあります。診察室や職場で緊張して、本来の血圧より数値が高くなります」
緊張、すなわちストレスは血圧に大きな影響を与える。
「つまり、薬を飲んでいてもストレスが強い状態が続けば、血圧は下がりにくい」
職場(家庭)を替えるのは、今の時代、非現実的だ。
「まずは職場や家庭での血圧がどうなっているかを知ること。普段の血圧と比べて差がどれほどあるかを調べてください。それを高血圧の担当医に伝え、薬で調整します」
“自衛”としては、かっかと頭にくるようなことがあれば、少し深呼吸をしてみる。思い切って、職場の外に出て気分転換するなどもいい。
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