いま乳幼児の間で“くる病”の患者が増えています。くる病はビタミンD不足が原因の病気です。日本では、食糧事情の改善で30年ほど前にほぼなくなったと言われてきました。それがなぜ今増えているのか?そこには現代ならではの要因がありました。
実際にくる病を発症した子どもを持つ方を訪ねました。1歳半のころ、徐々に足が曲がり始め、二つの病院を受診したものの原因がわからず、3か所目の病院でようやく「くる病」と診断されました。
くる病発症の原因として指摘されたのは、乳児期に母乳だけを与える「完全母乳栄養」と「アレルギー対策」です。母乳栄養には、免疫力をたかめるなどさまざまなメリットがありますが、ビタミンDについてはもともと含まれる量が少ないのです。さらに、アレルギーを恐れるあまり離乳食を始める時期を遅らせ、結果的に母乳だけの時期が長くなったことも、原因とみられました。
東京大学医学系研究科の北中幸子准教授によると「20年前にはほとんど見られなかったはずのくる病が、現在ではどの専門施設にも患者がいる」と言います。完全母乳栄養・誤ったアレルギー対策に加えて北中さんが指摘するのが、過度な紫外線対策です。ビタミンDは食品からとる以外に、日光に含まれる紫外線を浴びることで体内に作られます。しかし紫外線の健康への影響を気にして子どもを日光から避けすぎることも、ビタミンD不足を招いているといいます。
「現代病」ともいえるくる病の実態と、対策をお伝えしました。
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NHK「あさイチ」2014年5月22日放送分
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