メールマガジン(以下、メルマガ)の原稿を作成する内職の求人サイトを入り口に、ホームページ作成やサーバー拡張を勧誘し、次々と代金を請求する手口(以下、メルマガ作成内職)(注1)に関する相談件数(注2)が年々増加している。PIO-NET(注3)には、2013年度は424件の相談が寄せられ、2009年度の約60倍となった。主に20歳代から40歳代の女性がトラブルにあっているという傾向もみられ、2013年度の契約購入金額の平均は約89万円である。
消費者からは「初期費用無料の広告を見て、メルマガ作成の仕事に申し込んだところ、『あなたの文章はレベルが高いので歩合制の仕事をしないか』と勧められた。『もうからなければ返金する』と言われ、ホームページ作成等の費用を、業者の指示どおり消費者金融で借金するなどして支払ったが、全くもうからない」といった苦情が少なくない。また、消費者が契約を断ろうとしたところ「副業があることを職場にばらす」などと脅されて、支払ってしまったというケースもみられる。さらに消費者が返金を求めても態度が強硬で、返金には応じないケースがほとんどである。
そこで、トラブルの未然防止、拡大防止のため、消費者に注意を呼びかけるとともに、関係機関に情報提供する。
- (注1)消費者庁はウェブサイトの開設等(役務提供)の電話勧誘販売を行っていた株式会社リミテッドについて、平成25年8月30日に注意喚起を(副業を希望する消費者にウェブサイト開設を持ちかける「株式会社リミテッド」に関する注意喚起[PDF形式](消費者庁))、また、同10月3日、特定商取引法に基づく業務停止命令を行っている(特定商取引法違反の電話勧誘販売業者に対する業務停止命令(6か月)について[PDF形式](消費者庁))。
- (注2)メルマガ等の文章を作成し業者に送付する内職に応募した消費者に対して、有償のホームページ作成等を勧誘する手口に関する相談。有償の契約をしていなくても、今後その可能性があるものについても併せて集計した。2014年5月15日までの登録分。
- (注3)PIO-NETとは全国消費生活情報ネットワーク・システム。国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する情報を蓄積しているデータベースのこと。
相談事例
- 【事例1】
- 文章を褒められてホームページの作成を勧められ、約100万円を借金して支払った
- 【事例2】
- 収入がなければ返金するという業者の言葉を信じて、約120万円を借金して支払った
- 【事例3】
- 返金のため次々と高額な支払いを求められ、保険を担保に借金するよう言われた
- 【事例4】
- 解約を申し出たところ、就職先に連絡すると言われ、200万円以上を支払った
相談事例からみられる問題点
- 初期費用不要の内職を入り口に、高額な費用を伴う契約を勧誘する
- 「すぐに元がとれる」「○○万円の収入は確実だ」と事実と異なる説明をする
- 契約を断った消費者に勧誘を続け、消費者金融での借り入れを勧める
- 解約を申し出ると断ると脅されることも
- 収入がない場合は返金すると約束しながら、返金に応じない
- 業者はクーリング・オフや取消しの交渉に応じない
消費者へのアドバイス
- 安易に内職の申し込みをしたり、個人情報を提供をしないこと
- 高額な初期費用のかかる内職契約は極力避け、勧誘されてもきっぱりと断ること
- 「○○万円の収入は確実」「収入がない場合は返金する」など業者の言葉を信用しないこと
- 追加の費用を請求されたり、脅されたりしても次々に契約して支払わないこと
- 一人で抱え込まずに、家族や消費生活センター等に相談を
情報提供先
- 消費者庁 消費者政策課
- 消費者庁 取引対策課
- 内閣府 消費者委員会事務局
- 警察庁 生活安全局 生活経済対策管理官
- 金融庁 総務企画局 政策課
- 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局
- 日本貸金業協会
本件連絡先 相談情報部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20140605_1.html