最近日本でもベジタリアン(菜食主義者)の人は増えてきました。すでに実践中の人もいるかもしれません。原文筆者はもう10年以上ベジタリアンだそうですが、食事の時は大変なことも多いようです。家族や友人との社会的生活との摩擦を最小限に抑えつつ、両者ともに嫌な思いをしないような、食事の選択肢を学んできたのだとか。
それでは以下、原文筆者が見つけ出した、ベジタリアンじゃない人とも共存できるアイデアを紹介していきましょう。
1.自分の食事のチョイスを他人を侮辱せずに説明する
ベジタリアンになると決めたのは良いことだと思います。しかし、誰もがその選択を受け入れてくれるとは限りません。環境、経済、医学、宗教による理由でベジタリアンになる選択をしていたとしても、何でも食べる「雑食派」の人の中には、一方的な判断で批判的な態度を取る人もいるかもしれません。揉め事にならないように早いうちに話をした方がいいと思います。
誰かの家や仕事で食事に招かれた時にベジタリアンだと伝えた場合は、理由を説明する必要性はそこまで感じないでしょう。要望を聞いてもらえるシチュエーションでは、理由はそこまで重要ではありません。グルテンやラクトース(乳糖)のような、食材に含まれる成分がダメな場合は伝えましょう。相手が理由を聞いてきたら、喜んで説明をしましょう。
しかし、答えは自分の意見と考え方のみにします。他の人の食習慣について、攻撃的な発言をするのはやめた方がいいです。「食べるために動物を殺すなんて間違っていると思うので、ベジタリアンなのです」と言うのではなく、「食べるためとはいえ、動物を殺すことは自分にはできないので、ベジタリアンなのです」と言うようにします。最終的に哲学的な話になるかもしれませんが、他人の選択を批判しないようにしましょう。相手があなたを攻撃する可能性は低いはずです。
2.家族に面倒なことにはならないと保証する
ベジタリアンになるというのは個人的な選択です。家族がベジタリアンにならなくても、あなたと同じように、その人の「権利」にすぎません。私が「ベジタリアンになった」と初めて家族に言った時、全員が批判されたように感じていました。「サンクスギビングはどうするのか? 一体どうやって祝えばいいというのか?」と言う家族をまずはなだめ、「それはあなたの個人的な選択であって、誰にも無理強いはできないものだ」と説明しました。家族が好きな料理とベジタリアンの料理を一緒に楽しめるようにすれば、食事はもう少しバラエティ豊かになります。
肉が目の前にあると気分が悪いというのであれば、話はもう少しややこしくなります。ベジタリアンになる前まで肉は食べていたわけですから、目の前に肉があることにも慣れられるのではないでしょうか。食事の時間を別にするという考えもありますが、家族で一緒に食事をするのは、健康にとっても大事なことです。
自分以外の家族が目の前で肉を食べるのを許し、あなたが主菜としても食べられるような、美味しいベジタリアンの副菜も作りましょう。あなたが家で料理を作る担当でないのであれば、ベジタリアンの料理を自分で作るようにしましょう。自分の食べたいものは、他の人に余計な手間をかけさせずに、食べられるようにします。そうすれば、キッチンで家族と過ごす時間も増えます。
私と夫は、地元の料理教室に行くことで、ベジタリアンの経験と結びつきがより強くなりました。カップルで楽しめる料理教室で、夫が豆腐のレシピをいくつか覚えたら、豆腐が好きになり、夕食にリクエストするようになりました。同じように、子どもと一緒に料理教室に参加するのもいいでしょう。
3.簡単にベジタリアンメニューになる代用品を知る
他の人が食べているものを、「ベジタリアンバージョン」にしてしまうのが、少なくとも今のところは、ベジタリアンが雑食の人と共生する一番良い方法です。興味がある人に食べてもらうこともできます。ベジタリアンメニューにするのに欠かせない、代用品の食材がいくつかあります。
薄切りやぶつ切り肉の場合は「セイタン」
セイタンは、小麦のグルテンをいくつかの香料と一緒に混ぜたものです。もったりとして肉っぽい食感です。炒めものや、メキシコ料理のファヒータによく合います。チリやシチューに入れてもいいです。セイタンはすでに調理されているので、火を通すのも短い時間で構いません。たとえば、シチューを煮込んでいる場合は、最後の1時間でセイタンを入れるという具合です。セイタンは家でも簡単につくれますし、パックされているものも買えます。
ひき肉の場合は「豆腐」
豆腐は、一度凍らせてから解凍すると、質感が変化します。大きなゼラチン質のような塊が、ほろほろと崩れやすくなります。解凍した豆腐の水気を絞り取ると、豆腐の形が崩れます。それをひき肉を使うメニューの時に代わりに使いましょう。タコス、ラザニヤ、キャセロールなどにはピッタリです。豆腐は生でも食べられるものなので、ほとんどの料理で調理時間を短縮することができます。調味料は少し多めにしましょう。豆腐は味を吸い取ることが多いので、調味料を少し増やすくらいで、料理全体の味はちょうどよくなります。
ハンバーガーにはポートベローマッシュルーム
ポートベローマッシュルームは丸くて分厚いキノコで、ハンバーガーのパテと同じような形をしています。バンズに挟めばハンバーガーらしくなります。夫はキノコが嫌いなのですが、同じように、人にふるまう時は予め確認しましょう。キノコが苦手な人は野菜のパテを試してみてください。
4.外食する時は礼儀正しい客として振る舞う
レストランでは礼儀正しく、食材を聞いてみる
ベジタリアンというのはまだまだ少数派です。ベジタリアンのオプションがあるレストランは限られています。ベジタリアンメニューを見つけたら、ベジタリアン同士で情報交換しましょう。レストランでは、料理の中に隠れた肉にも要注意です。特にスープは、風味を良くするために、チキンストックやビーフストックなど動物性の出汁を使っていることがよくあります。
メインの料理だけでなく、飲み物にも気をつけましょう。ブラッディマリーのボトルをよく見てみると、うまみ成分のためにビーフの出汁を使っていることがあります。ベジタリアンメニューでも、野菜を炒める時に香り付けのためにベーコンの油を使っていることがあります。
メニューにベジタリアンだと書いていない場合は、お店の人に聞いてみましょう。礼儀正しく、「料理の中身(食材)を教えてもらえますか」と聞くのです。レストランによっては、食材を明かしたがらないところもあります。企業秘密ということなのでしょうが、ベジタリアンがポリシーを曲げないのと同じくらい、立場が違えばどちらもムカつくことです。ただ食材を取り除くだけで済みそうなメニューでも、対応してくれないこともあります。事前に下ごしらえをしていることもあるので、そのタイミングではすでに取り除けないこともあるのです。
外食は基本的に大変。対応してくれたらちゃんと感謝を
ヴィーガン(完全菜食主義者:卵、乳製品、ハチミツなども含む一切の動物性食品を摂取しない)の場合は、外食するのはもっと大変です。ヴィーガン対応をすると別料金を取られることもありますし、ほとんどのレストランではヴィーガン対応はそう簡単にできません。
ベジタリアンやヴィーガン対応を求めたとしても、最終的にはキッチンで働いている人には色々な人がいるということを覚悟しなければなりません。「二次汚染」が起こる可能性もあります。肉料理のあるレストランの場合は、ベジタリアンメニューを作る調理器具に肉が触れている可能性は高いです。また、サラダには肉は入っていないと言われても、ベーコンの欠片が偶然に混入することもあります。そんな時も、礼儀正しく、謙虚に、個人的な屈辱として受け取らず、どうかグッとこらえましょう。しかし、ベジタリアンやヴィーガン対応をしてくれたお店に対しては、気持ち良くチップを払うこともお忘れなく。
理想的なのは、ベジタリアンやベジタリアンに優しいレストランに行くことです。トラブルが最小限に抑えられます。「Yelp」ではベジタリアンレストランに印が付いていますが、大きな都市であればたくさんでは無いですが、少しはあります。外食する時に自分でレストランを選べるのであれば、事前に調べておきましょう。全員がベジタリアンでないのであれば、ベジタリアンのみのレストランには行かないことです。険悪になるだけですから。
5.誰かの家に行く時も礼儀正しい客になる
誰かの家に招かれた時は、食べるものを持っていく
夕食に招かれた時は、ホストがあなたの食事制限や好みについて聞いてこない限り、出されたものを食べましょう。出される料理について、あなたはコントロールできません。食べ物のためではなく、友だちや仲間としてその場にいるはずです。個人的には、誰かの家に招かれた時は、事前に「私が食べられるものは何かあるかな?」と聞きます。しかし、残念ながら全員がそれを覚えてくれているわけではありません。
ホストに合わせてもらうように頼むのではなく、何か副菜や主菜となるものを持っていってもいいか、丁重に申し出てみましょう。自分が食べるための主菜を持っていく場合は、みんなの分も持っていくようにします。申し出を断られた場合、それを受け入れ、そのまま行きましょう。食べるものが無くてお腹が空いてしまいそうだと思ったら、事前に何か食べていくといいです。
レストランではありませんから、どんな風に調理をしたのか、何か動物性の食材が隠れていないかと聞くのはNGです。ホストは気を悪くするか、あなたが食べられるものを聞かなかったことを申し訳なく思うかもしれません。肉を食べないことがそれほどまでに大事なことであれば、食生活と社会生活のバランスについて真剣に考えなければなりません。
食事をしに行くわけではなく、楽しむために行くことを忘れない
結婚式や誕生日パーティーのようなイベントでも、同じく前述の通りです。ベジタリアンのオプションが選べるのであればそうしましょう。ホストに電話して、自分が食べられるものを出してもらうように頼むような真似はやめてください。繰り返しますが、食べ物のためにその場に行くのではありません。そのイベントを楽しむため、誰かをお祝いするためにそこに行くのです。
どんな食事が出るのかわからない場合、私は事前に何か食べていきます。動物性のものが入っていそうな食事が出たら、単純に「さっき食べたばかりでお腹が空いていないんです」と言います。これは嘘ではありませんから、相手も納得してくれます。嘘をつくようなことは、本当に問題です。ベジタリアンを他人に押し付けなければ、相手もあなたにベーコンを押し付けるようなことはしません。
サンクスギビングやバーベキューパーティーなど、肉がメインのイベントの場合、私はキヌアの副菜や前述のポートベローマッシュルームを持って行きます。スイカや桃を持って行って、グリルで焼くのもなかなかいけますよ。試してみてください。
最後に、ベジタリアンはあなたの選択であり、あなたにはそれだけの理由があるのでしょう。今回紹介したアイデアを使えば、ベジタリアンではない家族や友だちとも、共に生活し、一緒に楽しむことができます。互いに尊重する気持ちがあれば、うまくいくのではないでしょうか。
Dave Greenbaum(原文/訳:的野裕子)
Images by Brian Hagen, Hamed Parham, Jon Fingas, LABabble, lovesituation, Tom Mascardo, Michael Lehet and Gary Paulson.
http://news.goo.ne.jp/article/lifehacker/bizskills/healthcare/lifehacker_38922.html