疲れが溜まっていると感じた時、徹夜作業中に効率が落ちてきたと感じた時、気分を変えてリフレッシュしたい時などに飲みたくなるエナジードリンク。最近では駅の自動販売機にも入っているくらい人気がありますが、栄養ドリンクとはどこが違うのか、実際のところはよく分からない方が多いのではないでしょうか。そこでこの記事ではエナジードリンクと栄養ドリンクの違いを紹介したいと思います。
■ エナジードリンクと栄養ドリンクの違い【商品分類】
エナジードリンクは、分類としては「清涼飲料水」にあたります。リポビタンDやアリナミンVなどに代表される栄養ドリンクは「医薬部外品」にあたります。医薬部外品には「滋養強壮、虚弱体質の改善及び栄養補給が目的とされている物」という分類があり、栄養ドリンクはその分類に入ります。そのため、効能として「滋養強壮」や「栄養補給」という表示をすることができます。一方、エナジードリンクは清涼飲料水であるため、そのような表示をすることができません。レッドブルの「翼を授ける」やオロナミンCの「元気ハツラツ!」などは、こういった薬事法に関する事情を踏まえた上でのキャッチコピーなのです。
■ エナジードリンクと栄養ドリンクの違い【成分】
ではここで、栄養ドリンクとエナジードリンクの成分を比較紹介したいと思います。比較対象として、「レッドブル」「オロナミンC」「リポビタンD」の3つの成分量を参考にしています。
◎ 成分1:タウリン
・エナジードリンク……×
・栄養ドリンク……○
タウリンは牡蠣などの貝類やイカ、タコなどに多く含まれる成分で、身体や細胞を正常な状態に戻そうとする「ホメオスタシス」という作用があります。具体的には、肝機能を高める効果として、
・肝臓の中性脂肪を取り除く
・アルコールの分解を早め、肝臓への負担を軽くする
・胆汁酸の分泌を促し、コレステロールの排出を助ける
などがあります。また、筋肉の収縮力を強める作用があるため、心臓の動きも高まり、身体のむくみや動悸、息切れを改善します。必要な摂取量は人によって差がありますが、最低でも1日500mg程度だといわれています。日本の栄養ドリンクシェアの半分近くを占めるリポビタンDには、タウリンが1000mgも配合されていますから、十分な量を摂取できることになります。タウリンは必要以上摂取した場合でも、副作用などの心配はなく、余分なタウリンは体外に排出されます。
◎ 成分2:ナイアシン
・エナジードリンク……○
・栄養ドリンク……○
ナイアシンはニコチン酸とニコチン酸アミドの総称で、水溶性ビタミンの一つです。糖質や脂質、タンパク質の代謝を促し、皮膚や粘膜の健康維持を助けます。他にもアルコールを分解する酵素とアセトアルデヒドを分解する酵素を活性化する働きがあります。必要摂取量は、成人男性で15mgNE、成人女性で11mgNEと言われています。レッドブルには100mlあたり3mg、オロナミンCには120mlあたり12mg含まれています。リポビタンDにはニコチン酸アミドが100mlあたり20mg含まれています。NEとはナイアシン当量というナイアシン摂取量に関する単位です。
◎ 成分3:ビタミンB2
・エナジードリンク……○
・栄養ドリンク……○
ビタミンB2には、エネルギーの代謝や皮膚や各器官の粘膜を正常に保つ働きがあります。前出のナイアシンの生成などにも必要な栄養素です。必要摂取量は、成人男性で1.2mg、成人女性で1.0mgです。さらに、1000kcalの摂取エネルギーごとに0.4mg必要とされています。レッドブルには0.09mg、オロナミンCには2.4mg、リポビタンDには5mg含まれています。
◎ ビタミンB6
・エナジードリンク……○
・栄養ドリンク……○
ビタミンB6は、タンパク質をアミノ酸に分解する酵素と、アミノ酸を別のアミノ酸に組み替える酵素の働きを助けます。また、神経細胞の興奮を抑える働きもあります。必要摂取量は、成人男性で1.4mg、成人女性で1.1mgです。レッドブルには2mg、オロナミンCには6mg、リポビタンDには5mg含まれています。
■ おわりに
エナジードリンクと栄養ドリンクを比較すると、栄養素の面では栄養ドリンクの圧勝でした。しかし、エナジードリンクは栄養補給というよりも気分をスッキリさせるための飲み物として捉えている人もいるため、状況によって使い分ければいいのかもしれません。たくさんあるエナジードリンクや栄養ドリンクを選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。
(著:nanapiユーザー・wnt 編集:nanapi編集部 写真:PresenPic)
http://news.goo.ne.jp/article/nanapi/life/nanapi-00006912.html