ひざのスポーツ外傷の主なものは2つ。半月板損傷とじん帯損傷だ。若者に限らず60代で痛める人もいる。重症の半月板損傷と前十字じん帯損傷の場合は手術を行う。
1.半月板損傷
ひざのスポーツ外傷(スポーツ時に急激に強い力が加わることで起こるけが)で多いものに半月板損傷があります。半月板損傷では、裂けた半月板が周囲の組織を刺激して炎症が起きたり、ひざに“水がたまった”状態になったりして痛みが生じます。重度の場合、ロッキング(半月板の裂け目が大きく広がり、一部がずれて関節に挟まった状態)が起き、ひざの曲げ伸ばしがしにくくなったり、激しい痛みで歩行が困難になることもあります。
軽度の場合は、少しずつ関節を動かし、徐々に筋力トレーニングやジョギングなどの運動を行い、痛みと腫れが治まればスポーツに復帰できます。運動を行っても症状が改善しない場合やロッキングを起こした場合は、関節鏡手術が行われます。退院後、日常生活にはほぼ支障がありませんが、スポーツに復帰できるようになるまで通常は3か月、場合によっては半年から1年ほどかかります。
2.じん帯損傷
スポーツ時などにひざのじん帯が傷ついたり断裂してしまうじん帯損傷も、起きやすいスポーツ外傷の1つです。ひざ関節には4本のじん帯があり、特に傷つきやすいのはひざの内側にある内側[ないそく]側副じん帯と、関節の中にある前十字じん帯です。
内側側副じん帯損傷は治りやすく、それほど大きな問題にはなりません。3~4日間ひざを冷やして圧迫固定し、曲げ伸ばしの練習を行い、痛みがなくなったら少しずつ運動を始めます。前十字じん帯損傷では、直後には痛みで歩行が困難になり、通常はスポーツを続けることはできません。関節が腫れ、真っ赤な血液がたまったときは前十字じん帯損傷が強く疑われるので、すぐに整形外科を受診しましょう。治療では、ひざ関節前部の膝蓋腱[しつがいけん]やハムストリングスの一部から新たなじん帯を作る再建手術が行われます。移植した組織がスポーツに耐えられる強度になるまでには長期間かかり、基礎練習を始められるのには半年ほど、試合に復帰するには8か月以上がかかります。
NHK「きょうの健康」2014年5月8日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140508-h-001.html