信頼は当たり前にあるものだと思い込みやすいものです。会社と社員の関係、友だちや配偶者や家族との関係、自分を信頼してくれている人はたくさんいると思いたいものですが、そうではないとわかった時はかなり傷つきます。
子どもの頃からそばにいてくれた両親との関係が、後に壊れたり、少しずつ減っていったりするとは思えないように、長い時間をかけて培ってきた人間関係が壊れるとも想像しにくいものです。
人間の信頼関係を説明する場合、このように定義することもできるでしょう。
人間の信頼関係とは、相手の未来の行動に対する期待と、安心、自信、安全が伴う感情です。
信頼が大事な理由
信頼というのは驚くべきもので、私たちは大して意識もせずに信頼をしたり、信頼してもらったりしています。人から信頼を得るのはとても有益なことですが、高い信頼を得るのはさらに重要です。
人を信頼している人は、不幸になったり、騙されたり、盗まれたり、嘘をつかれたりすることが少なく、友だちができたり、他人の権利を尊重したり、人が失敗しても次のチャンスを与えることが多いようです。より高い信頼を得ることは、騙されやすくなることと同義ではありません。人を信頼している人は、信頼していない人よりも騙されにくいのです。
仕事のチームでは、信頼関係があると仕事に対するやる気が出て、それが結果に結びつくので、生産性が向上します。信頼はコミュニケーションでも驚くべき役割を果たしています。信頼していない人には、共有すべき情報も伏せておきたい気持ちになりやすいのです。このことが、相手の問題に対する理解に影響を及ぼし、信頼がさらに無くなっていくこともあります。
信頼というのは、つかみどころがないものなので、理解するのが難しいものでもあります。しかし、友だちや仕事仲間、社員間での信頼関係を築く手助けとなる行動がいくつかあります。
正直であること
正直であることが大事なのは当然のように思うかもしれませんが、原文筆者が最近読んだ話で、正直さがいかに重要で、正直でいることがいかに難しいものか思い知らされました。
話をする時に少し大げさに言ってみたり、今後のことを考えずに罪のない嘘をつくことは誰にでもあります。これは、罪のない嘘をつくことでどんな対価を払うことになるのか、自分でも気付いていないうちに、どれだけ大げさに話をしているかという話です。
Rebekah Campbellさんによって書かれたこの話は、彼女の前職の上司が小さな嘘をいくつかついたせいで、部下からの信頼と尊敬をいかにして失ったか説明しています。
大嘘つきではありませんが、小さな嘘をたくさんついていました。なぜ遅刻したのか、なぜ会議に遅れたのか、なぜメールを読んでいなかったのか、というようなことです。彼に問いただしたところ、彼は自分のついた嘘を正当化しました。これは喜ばしくない結果を避けるためについたのだと。
その結果、不誠実と不信が組織の文化としてじわじわと広がり、チーム全体に影響を与えました。
みんなが互いに信頼していませんでした。その結果、達成できるはずのことも達成できず、不透明と裏切りの文化になりました。
この話には素晴らしい結末があります。Rebekahさんは、彼女の投資家からもらった素晴らしい言葉を引用しているのです。
完全なる正直さは究極の力につながる。
彼女は、彼女を助けてくれる新しい投資家の獲得に、完全なる正直さがどのように貢献したのかという例も上げています。これは、何でも開けっぴろげに話す正直さに感謝している表れでもあります。正直になるように心がけるようになってから、すぐに彼女は信頼を獲得していきました。
人の選択を強制してはいけない
社員や仕事仲間と働く時、団結力のあるチームを築くためには信頼が大事な要素です。仕事のやり方や責任がどこまであるのかということに関する契約は、チーム間の信頼を築く上では妨げになることもあります。
実際、契約で縛ることが仕事中に信頼を築くことを妨げ、一旦仕事から離れた時に劇的に信頼が減ります。このような場合、チームメンバー間で相手の行動を、それぞれの決断よりも契約での強制によって縛ろうとする傾向にあります。
しかし、契約で縛られていない場合は、信頼を築く妨げとなるものがかなり少ないので、誰かが離職した時も、契約で縛られている時ほど信頼が失われることはありません。ここでの教訓は、各自が自分で決断できる状態の時は、人は自由に自分のやり方で良い仕事をしようとし、契約によって期待されている以上のことをすることがあります。
契約というシステムの代わりにもっと良いやり方があります。例えば、バリューベースのスタートアップとして知られるBufferでは、意思決定をする時は、事前に仕事のために特定の制約を設けるのではなく、各自のバリューを保つように期待しています。
多様な関係を奨励する
倫理的な多様性や男女格差など、多様性は職場における共通課題です。最近の研究では、隣人との社会的な交流がある人は、周囲の多様性による影響をかなり受けにくいことがわかっています。
友だち同士でも、仕事仲間や同僚の間でも、多様な関係性を促進することで、相手をより信頼するようになり、グループ内での多様性から生まれる信頼関係に対する脅威が減るようになります。
他人との信頼関係は簡単に築けると思われがちですが、信頼は失われることがある、もしくは最初から信頼があるものではないと分かっている時にだけ、どうすれば信頼が築けるのかという疑問が生まれます。
ここで言いたかったのは、信頼を広める方法があるということです。無意識のうちに小さな罪のない嘘をついていたりすることがあるので、まずは正直になることが最初の一歩です。知らないうちに大事な信頼関係を失っていたのかと気付いて、悲しくなるかもしれませんが、これから必要以上に失わないように心がけていきましょう。
How to Build Trust With Colleagues and Friends|Crew Blog
Belle Beth Cooper(訳:的野裕子)
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http://news.goo.ne.jp/article/lifehacker/bizskills/adminhr/lifehacker_38704.html